REDWING COLUMN NO.63 レッドウィング ブラッククロームの茶ウェルト
今回はブラッククロームレザーを採用している一部のモデルに限って見られた
ウェルトのコバが茶色、もしくはナチュラルな色のウェルトについて。
この茶ウェルトはモックトゥの8179などの羽タグから犬タグに変わる
1997年頃までに採用されていた、言うなれば初期仕様と言える。
レッドウィングでは90年代後半にブラッククロームの質感を大きく変える為
茶ウェルトはマニアが喜ぶ旧時代のレザーかどうかを
判断する材料の一つともなっている。
ブーツや革靴のアウトソールを付ける作業と言うのは
レッドウィングのようなグッドイヤーウェルテッド製法の場合
ウェルトにミッドソールを縫い付け、アウトソールを接着剤で貼り付け
仕上げにグラインダーで削って側面を綺麗に整えると言う流れになっている。
大体の靴メーカーであれば、ウェルトの削ったコバ部分は着色するが
今回の仕様は着色せずに仕上げていると言うことになる。
右はコバの部分を黒く着色している物。
現在のレッドウィングでは定番的なモデルは右の黒い仕様で
茶芯レザーを採用しているモデルは茶色にする傾向にある。
同じく上が茶ウェルトで、下が黒ウェルト。
全体的な見え方も少し変わり、少しラフなヴィンテージ感のある茶ウェルトと
反対にスマートで統一感のある黒ウェルトと言う感じだろうか。
現在手元にある茶ウェルトはモックトゥ8179とペコス8169。
8179は95年デビューで、8169は96年デビューとなっている。
茶ウェルトはいつまでと言う細かい区切りは正直分からないが
97年後半から98年辺りで仕様変更されているかなと言う印象。
モデルによってもう少し後だったり、工場での生産ロットによる物もあると思う。
左は8179の96年8月製、右は8179の97年3月製。
色味には個体差がかなりあり、右の方が茶色の色がハッキリとしている。
履き込むことで黒ずんで行ったり、この部分の色も変化して行く。
ちなみに今回の記事は右の物の画像をメインに使っていて
クリームで加えたピカピカとした光沢がある。
左は8169の97年3月製、右は8169の97年6月製。
そこまでの大差はないが、左の方がやや濃いめになっていて
97年後半ぐらいから茶色か黒かどちらとも言えるような物が増えて行く。
茶ウェルトは茶芯レザーの断面と色を合わせたかのような感じが良い。
この相性の良さもあってか、現行の茶芯レザーのモデルに採用されている。
茶芯レザーは古い黒レザーの作り方となっていて詳しくは↓
ペコスの凸部分はテングと呼ばれている箇所。
おそらく天狗の鼻のような形をしているから付いたと思われる。
そのテング部分の断面やプルストラップの色合いが統一されているのが嬉しい。
そして何故か8165プレーントゥでは茶ウェルトはほとんど見られない。
最初期の95年製で見掛けたことはあるが、同じ95年製でも黒い物が多い様子。
この後の年代でも黒のような茶色のどちらとも言えるような物は見掛けるが
何分マニアックなので、この部分が確認出来るような画像自体が少ない。
左と中は96年2月製のタグが違うバージョンの物。
履き込んで削れて灰色っぽくなっているが、茶色だった様子はない。
右は98年5月製、ベージュっぽい色に軽く黒で染められている感じ。
これは履き込んで行けば、いずれ茶色っぽく見えそうな気もするが
8179や8169みたいな色とはやはり別物と言う印象。
この色の感じは2000年代の個体でも見掛けた。
もちろん例外もあるが、基本的に90年代に流通した日本国内の定番モデルで
茶ウェルトであれば1995年から97年頃と大まかに推測することが出来る。
これは日本のレッドウィングブーム時の為、極めて入手困難な時期に当たり
その当時喉から手が出るほど欲しかったと言うのは、ある意味思い出。
90年代のディテールは現在展開中の復刻モデルに引き継がれたりと
語れる部分が多いので、自分のように当時の物を集める方も多い。