赤い羽BLOG

REDWINGとMr.Childrenを愛する男の趣味ブログ

REDWING COLUMN NO.95 レッドウィング 刺繍羽タグ 前期・後期

REDWING COLUMN NO.95 レッドウィング 刺繍羽タグ 前期・後期

10月12日はレッドウィングの日ということで、レッドウィングマニア向けなネタとなる

90年代の日本別注モデルにも付けられていたタグの、刺繍羽タグ前期と後期について。

簡単に言えば、一旦別のタグが付く期間を経て以前と同じタグに戻るという流れで

これはブランディングによるタグの変遷となるけど、一部のモデルというのがややこしい。

レッドウィングの日はレッドウィング社設立となった2/10と、今回の10/12の年に二回あり

敬意を表して着用したりメンテナンスをして、それぞれのスタンスで楽しもうというもの。

今回の10/12はファンの間で創業者の命日とされていたが、本当は10/21だということが判明し

以前別の記事にも書いたけど、10/12を変えずに本来の命日である10/21までの

10日間をレッドウィングの日にしてしまえば、というのを個人的に提唱している。

折角広まっているのを変えるのも何だし、必ず土日や各々の休日が絡むのが良いと思う。

ちなみに今年2022年10/21は創業者チャールズ・ベックマンの没後110年になるようだ。

刺繍羽タグ 前期・後期 目次

 

羽タグと犬タグ

通称「刺繍羽タグ」は、日本での流通量がとても多い時期に使われていたので

今でも普通に見つかるけど、前期後期と分けて考えずに90年代とする場合が多い。

このタグは1996年途中から2002年いっぱい(厳密には2003年頭)までのおよそ7年間

幅広いモデルに付けられていたタグで、一部の日本別注モデルでは期間が分かれていた。

前期は96年途中から97年半ばまで、後期は99年半ば以降と、一旦タグが切り替わるけど

前期と後期ではクオリティーが全く違っていて、マニアは特に前期を好む傾向にある。

 

羽タグを語る上で欠かせない存在となっているのが左側の犬タグ。

左上は通称「半円犬タグ」、その下は「四角犬タグ」もしくは「白犬タグ」とも言う。

これらのタグは微妙な年代の違いやモデルによって、プリントか刺繍で切り替わったり

表記や形状が異なる場合もあるけど、90年代日本で展開していたのは概ね4パターン。

基本的に犬タグはアイリッシュセッターという、伝統的なモデルに使われることが多く

羽タグはそれ以外に採用され、箱もそのタグと共通したデザインや表記になっている。

 

アイリッシュセッターとオロラセットの分岐点

それに続いて一旦整理しておきたいのが、犬タグ(犬刻印)が付けられていたモデル。

画像左側がレッドウィングを象徴するブランドやモデルとなるアイリッシュセッター

これは猟犬のアイリッシュセッターにレザーの色が似ていることから付けられた名称で

昔から一部例外はあるものの、オロラセットという茶系の色合いのレザーのモデルに

犬タグが付けられていて、右側の丈の長いペコスブーツも一括りにされていた。

 

90年代のオロラセットは本来の色味から大きく変わり、赤くなり過ぎたということから

原点回帰として、1996年後半に左側の本家アメリカ版のオレンジっぽいオロイジナルと

右側の赤い色を引き継いだ、日本版のオロラセット・ポーテージに別れることになる。

そこで登場したのが1990年頃までの復刻とも言える、日本別注用のこの四角犬タグ。

皮肉なことに、原点回帰として息巻いたオロイジナルは不人気という結果に終わり

とにかく日本では日本別注モデルに人気が集中する事態となってしまう。

不人気に終わった理由は主に色の違いと、表側に目立つように入る刻印と思われ

この通称「犬刻印」入りは一年ほどで終わり、その後は犬タグすら付かなかった。

 

アイリッシュセッターの多様化によるタグの統一

そしてこれらが90年代半ばに極めて日本で人気があったモデル。

元々左側は犬タグ、右側は羽タグと別カテゴリーとして販売されていたところ

その当時の雑誌やファンは厳密にアイリッシュセッターとは呼べないモデルであっても

「黒セッター」「スエードセッター」「プレーントゥセッター」などのように

このタイプのブーツを独自に呼び、アイリッシュセッターとして一括りにしていた。

それを受けて1997年~98年に掛け、別だったタグが四角犬タグに統一されることになり

正式にアイリッシュセッターブランドとして、ラインナップされることとなった。

近年でも四角犬タグが付くようになったのは、この時代の観念によるところが大きい。

ただし1999年にアイリッシュセッターブランドは終了、もしくは休止することになり

今度は羽タグに統一されることになって、これが本題の前期と後期に分かれる流れ。

 

刺繍羽タグ前期・後期の有無

自分が所有しているモデルで刺繍羽タグの前期と後期に分かれるのは

ブラッククロームの「8165」「8176」「8179」にラフアウトの「8173」の四つ。

四角犬タグと刺繍羽タグ後期は増産の為のP8工場製の比率が高いと思われる。

憶測の部分もあるけど、犬タグ廃止=アイリッシュセッターの休止となった要因は

先ずはだいぶ出回ったことで需要の低下が大きいと思われ、さらに原点回帰として

相当力を入れていたはずの犬刻印の不人気による、ブランディングの見直し。

売店としては、レッドウィングとして打ち出して欲しいということもあったとか。

 

こちらは刺繍羽タグ前期が無い、もしくは通して刺繍羽タグが付いたモデル。

左の深緑色の8180とこげ茶色の8160は、犬タグからスタートし刺繍羽タグへと移行。

中央の黒い8133スーパーソールとその上のこげ茶色の8161コルクソール

最初からアイリッシュセッターとは別カテゴリーなので、刺繍羽タグが付くモデル。

そして右側にある少し丈の長いペコスブーツの8168と8169の二色。

カタログなどではアイリッシュセッターにカテゴライズされているのにも関わらず

何故か犬タグが付くことは無く、通して刺繍羽タグが付けられていた。

以前は犬タグが付いているものだと思い込んでいたので、この二つは不思議な存在。

 

前期・後期の判別方法とディテール

前期と後期の判別で一番手っ取り早いのが、ベロ部分に記載されている製造年を調べること。

黄色く丸で囲んだところに、左から「H7 97」「P2」「H?K?7」と記されている。

これは法則があって、ここで解説するととても長くなるので詳しいことは割愛するけど

左から「97年3月」「2002年9月」「97年3月or5月」という意味になる。

つまり両端は前期、中央がもしも8165や8179などであれば後期ということになる。

ラフアウトのモデルは特に刻印が見づらく、ずっと「K7」だと思っていたけど

「H7」の可能性が高く、両端は同じ97年3月製ということになりそうだ。

ちなみに水色で囲った「P1」「P2」はPLANT=製造工場を表す刻印になっていて

右側には見当たらなくてもP1になり、両端は同じ工場で同じ時期に作られたと分かる。

 

刺繍羽タグ前期の頃までは革が分厚かったのがこの画像から見て取れる。

左から刺繍羽タグ前期96年製、刺繍羽タグ終了間際の2002年製、四角犬タグ99年製。

上側の革が重なっているところをノギスで測ったら、両端は4㎜で中央は3.3㎜だった。

もちろん個体差もあるけど、96年と2002年では革の厚みがかなり違うのが分かるし

茶芯の色味もはっきりしなくなるので、ここも前期がマニア受けするポイント。

何をもって良い品質かは分かれると思うけど、厚みがあった方がコストが高いのは間違いない。

他には茶ウェルトやツヤ感が全く違ったり、ラフアウトは毛足が長かったり色味も

少し濃かったりと、この時期まで、またはこの時期特有の風合いも見られたりする。

 

終わりに

マニア向けな内容故にかなり長くなったけど、こういう情報は検索してもあまり出て来なくて

いつか記念に書籍としてまとめられたらというのが、ブログ開設当初からの目標でもある。

一般的には90年代や昔のレッドウィングはレザーが分厚くて質が良いと言われるけど

個人的には伝統的な作りだと感じるのは、刺繍羽タグ前期から四角犬タグの初期頃まで

製造年で言うと1997年いっぱいか、ぎりぎり1998年の途中までというところ。

刺繍羽タグ=90年代と一括りにしたくないのは、そのタグを使っている初期と終わりでは

特にレザーの品質が大きく変わったからと言った方が早いかもしれない。

もしも自分みたいに古めの個体が好きな方は、刺繍羽タグの前期を狙ってみては。