
REDWING COLUMN NO.125 レッドウィング877半円犬タグ メンテナンス編
いつかやらないとなと、だいぶ前から思いつつも、諸々あって後回しになっていたレッドウィング877
通称「ロングセッター」のメンテナンスを、室温と湿度が快適な季節の間に行っておくことにした。
ちなみにこの877は昔の思い出の回収的に購入した物で、着用せずに観賞メインになっている一つ。

1995年~96年のオロラセットは赤みが特に強いものの、自分がイメージする96年のオロラセットの赤は
こんなものではなくて、ややオレンジっぽい色味からもオイルを欲している様子が見て取れる。
他のレザーだと手触りを中心にオイル入れを決めるけど、自分の記憶や感覚的な部分が大きい。

今回の877メンテナンスに用意したのはこれらのアイテムで、レッドウィング純正馬毛ブラシに
同じく純正馬毛ウェルトブラシ、現行品ではコンディショナーとなる旧レザードレッシング。
モゥブレィのステインクレンジングウォーター、モールドクリーナー、クリームエッセンシャル。
スコットのショップタオルを小さく切った物と、つまようじ数本、綿球の大きいシャワー綿棒。

それではメンテナンスを開始ということで、ブーツから紐を外して基本のブラッシングから行う。
毎度のことではあるけど紐を外すと、メンテナンスにしっかり取り組む覚悟が決まるような感じで
逆に言えば、紐を外さないと手を抜いたというか、メンテナンスをした気にならないかもしれない。

外した紐は硬く絞ったショップタオルで水拭きして、たるみをしっかり伸ばして吊るしておく。
ショップタオルは好みの大きさに切って使えるのと、繊維のカスがほとんど出ないのが優秀で
しかもキッチンペーパーなどと違って再利用可能な為、メンテナンス後の床の拭き掃除に使える。

877のメンテナンスがやや億劫になってしまうのは、ハトメ周りのこの緑青取りがあるから。
オロイジナルほど緑青の発生具合は強烈ではないんだけど、通常の6インチ丈7ホール仕様よりも
877は10ホールということで3つ多く、緑青取りだけで1.4倍近くあるというのが何とも気が重い。

ハトメ周りの緑青を爪楊枝で丁寧に掻き出し、それをティッシュに取ってを地味に繰り返す。
レザーのオイル含有量とハトメの材質などの兼ね合いで、緑青の発生度合いは決まるらしく
この877の仕様は発生しやすい部類にあたり、5.6年前に取り除いたのにこれだけの量が取れる。

表側はまだ取りやすい方ではあるんだけど、裏の菊割が取り除きづらくて更に時間が掛かってしまい
どうせ復活するし本来は見えない部分なので、綿棒を使った拭き掃除をメインにざっくり仕上げる。
休憩をはさみつつも計2時間ほどと、緑青取りは集中力が必要になるので一番疲れる工程。

丁寧に緑青を取り除いてもそこら中に細かいカスが残るので、ウェルトブラシを使って取り除く。
このウェルトブラシは毛束の幅がこういう部分に使いやすくて、意外と便利で気に入っていて
ラフアウト専用とか用途別にあっても良いなと、もう数本買い足そうかと思っていたりする。

次はステインクレンジングウォーターをショップタオルに取って、古いオイルの除去や汚れを落とす。
レザーだけでなく手肌にも優しい成分が使われているのと、軽い保湿効果があるのが特徴的で
更に起泡性もある為、ブラシでシャカシャカと泡立てて丸洗いの洗剤として使うことも出来る。

モカシンとウェルトのステッチには、綿棒にステインクレンジングウォーターを染み込ませて使う。
ハトメに残っている緑青もクリーナー+綿棒で綺麗にし、裏側の菊割部分も同様に行っておく。

アッパーと同様にインソールもリフレッシュということで、ステインクレンジングウォーターを使う。
つま先側はほぼ感覚にはなってしまうけれど、手を入れ込んでショップタオルでしっかりと拭く。

アッパーの濡れた感じが落ち着いたら、続いてはモールドクリーナーでカビ予防の工程。
今回のような表レザーの場合は直接吹き掛けるのではなくて、布で塗り込むことが推奨されていて
アッパーとウェルトの接合部分は重要な部分になるので、差し込むようにしっかりと行っておく。

インソールもモールドクリーナーをショップタオルで塗り込みつつ、シャフトやベロ裏などの起毛面は
少し離れた距離から直接スプレーをして、ムラがあればショップタオルで拭いて整えておく。

馬毛ブラシで表面を整えておき、オールナチュラルレザードレッシングでアッパーを保湿する。
これは現行のレザーコンディショナーの旧仕様になり、通常のミンクオイルよりも保湿効果が高く
オロラセットの色揚げにも最適で、少量を指に取って体温で溶かしながら伸ばすように塗り込む。
ちなみに15年以上前に買った物の残りで、何だかんだで2030年ぐらいまでは持ちそうな気がする。

左側の塗る前に比べると、いかにもミンクオイルを塗りましたっていうテッカテカな状態。
こういうミンクオイル系を使った保湿はカビのリスクがあったり、レザーが柔らかくなり過ぎたりと
ネガティブな要素もあるので、メンテナンスの頻度やタイミングの見極めが重要になって来る。

接触の多いヴァンプとトゥにウェルトはやや多めに塗り込み、それ以外はやや薄めにしておき
履き口のパイピングや羽根の内側に、アッパーとベロの接合部分などもしっかりと行う。

レザードレッシングをしっかり浸透させるのと、ブーツ内部の換気を兼ねて翌日まで放置する。
あまりにも早く吸収されるようであれば、オイルの追加が必要になるけど今回は一度で充分。

そして丸一日経過したので確認すると、トゥなど多めに塗った箇所は浸透しきれず飽和な状態になり
それ以外の部分はかさついている感じもないし、オイルアップはこれで問題なしということで。

そして余っているオイルをショップタオルで拭き取って、全体もムラがないように乾拭きして
更に馬毛ブラシの毛先にオイルを吸わせるように、ステッチ部分なども整えて仕上げる。
この工程で毛先にしばらくオイルが残る為、埃落としのブラッシング兼簡易オイル入れが出来る。

拭き取り&ブラッシングを行ったことで、オロラセットの赤の深みが戻って良い感じに整った。
ヴァンプの多めに塗った部分なんかは若干染みっぽく見えるけど、これは徐々に落ち着いて行く。

馬毛ブラシの毛足のオイルで栄養補給&埃落としがてらに、同系統レザーの8875をブラッシング。
オイルがバチっと入った直後の877と比較すると、1996年途中までのオロラセットを引き継いだ
オロラセット・ポーテージと言っても全く別物という色味で、この個体は赤みがかなり控えめ。

左の877の色味を表現するとほぼ赤に近く、それに対して右の8875は赤茶って感じの色をしていて
右の方が90年代の間では平均的とも言え、真っ赤な877の色味はある意味異端的な存在とも言える。
こう見ると8875もオイルがだいぶ抜けたなと、オイルアップをどのタイミングにするか迷うところ。

ラストはインソールの仕上げということで、クリームエッセンシャルをショップタオルに取って
ムラにならないように塗り込み、つま先側も指の感触で確かめてしっかりと乾拭きすれば完了。

折角なのでブーツにスマホを入れ込んで、インソールの状態がどんな感じか撮影してみたところ
クリームエッセンシャルの塗りムラやひび割れに硬化もなく、かなり良好でカビの心配もなさそう。
ショップタオルを導入前に使った布の繊維カスが若干あるけど、もうこれは見なかったことにする。

そして仕上がったブーツに紐を通せば、877ロングセッターメンテナンス編の全工程終了。
インソールと羽根の内側のオイル感を少し落ち着かせたくて、一応二日間置いてから紐を通した。

今回の877のビフォーアフターということで、左がメンテナンス前で右がメンテナンス後の様子。
やはり左は赤みが落ち着いて見えてしまい、オイルが入って赤々とした右が90年代半ば感がある。

トゥのオレンジ色っぽい感じが濃くなり、正にこの色味はオロラセットの赤みMAX期という色合い。
自分はこの年代特有の色味ということで、敢えて赤を際立たせるアイテムを使っているけれども
デリケートクリームやレザークリームなどで変色を抑えて、メンテナンス前っぽく仕上げるのもOK。

今回のメンテナンスで何気に一番変わったのは、ウェルトのステッチの白さが戻ったこと。
このステッチが綺麗になったことで、見栄えがだいぶ良くなって清潔感が増しているのが分かる。
以前はこの工程はほとんど行っていない、もしくはあまり重要でないと思って簡単に済ませたかも。

そしてメンテナンスから更に数日後、自然光で877ロングセッターを撮影してみた。
カビ予防やインソールのリフレッシュなど、後はどこをケアすればってぐらいの充実っぷりに
元々この877はかなり良好な状態であったものの、購入時より更に良くなったのは間違いない。
次のメンテナンスはまた数年後になると思うけど、また何か工程が増えているのだろうか。

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