REDWING COLLECTION NO.43
RW-8179 刺繍羽タグ前期 P1第1工場 96年7月製
レッドウィング8179、通称「黒セッター」は1995年デビューの日本企画モデル。
8179のベースとなるモデルは8176で、その8176をカスタム仕様にした物を改良し
正式に日本国内品番としてラインナップされることとなった。
すぐに有名人の着用や雑誌で大々的に取り上げられ、一気に人気に火が付き
90年代半ばから後半のレッドウィングブームの筆頭的な存在。
このモデルの成功やレッドウィングブームは、日本市場だけの影響に留まることなく
本国アメリカでもファッションアイテムとして見直される切っ掛けになったそうだ。
このレザーは表面を黒く分厚い塗膜でコーティングする為
油分をしっかりと内部に閉じ込め、丈夫で劣化しにくいのが特徴。
手入れはさっと水拭きだけでも可能で、オイル入れの頻度は少なくて済む。
また古い年代では硬く分厚い質感のレザーを採用していて
新しい年代ほど柔らかく履きやすい質感へと移り変わって行く傾向にある。
刺繍羽タグは1996年途中から2002年いっぱいぐらいまでに使われたタグで
8179では96年から97年途中と、99年途中から2002年までの2期に渡って付けられた。
それぞれ前期と後期と分けられ、その間は犬タグが付けられていたが
また同じタグに戻るっていうのは意外に感じるかもしれない。
ベロには「M6」の刻印があり、M=7月、6=6年を表し、つまり96年7月製。
この6は下の96と被って表記されているのが分かる。
アルファベットのMが何故7月なのかは他の記事で解説している。
90年代のブラッククロームというと、気になるのは茶芯かどうか。
相当履き込まれて全体が茶色くなっていればすぐに判別出来るが
それぞれの箇所のレザーの断面部分の色をチェックすることになる。
※現在の黒いレザーの主流はベースの色を灰色や黒にしているが
茶芯は旧時代の黒いレザーの作り方で、茶色用レザーと兼用することで
作業効率の向上や在庫管理などのコスト面を抑えていたとも言われている。
モックトゥタイプは主に6個のパーツから形成されているが
モカシンの割れ目からも色の確認が出来て、この個体はオール茶芯というのが分かる。
現在は意図的に作られているが、旧時代は個体によって様々な物が見られた。
ボリューム感のあるモカシン縫いのモックトゥタイプ。
8179の旧モデルはウェルトのコバ部分の着色が曖昧になっているのが特徴。
ウェルトもなるべく潤わせておきたいのでメンテナンス済。
ウェルトの他の部分を見ると、ほとんど着色していない茶色い部分も見られる。
この8179はコバの処理がだいぶ荒い個体のようだ。
ブラッククロームは塗膜が強い為、傷の少ない状態だとオイルがあまり浸透せず
どちらかと言うと、レザー表面の保護がメインというイメージでメンテしている。
主に使っているのはモゥブレイのクリームエッセンシャルで
これ一本で汚れ落とし、保革に必要な栄養補給に艶出しも可能な優れもの。
相当乾いていると感じた時は、ベースにミンクオイルを薄く塗っている。
8179は現在3足所有していて、同じ物をいくつも集めてどうするって思う時があるが
今回の物は一番左で、隣は一ヶ月違いの96年8月製で右が97年製。
お気に入りは一番最初に入手した右の97年製の個体。
レザーの質感やウェルトの着色加減など、なかなか画像では伝わりづらいが
それぞれ微妙に違うのが面白いところで、ついつい同じ品番でも集めてしまう。
レザーの表面のきめの細かさは右が一番あり、茶芯の濃さは左と右が強め。
左と真ん中は一ヶ月違いということもあって手触りは良く似ている。
年齢や世代によって、レッドウィングをイメージするモデルは違うと思うけど
自分の世代から見ると、当時の8179は憧れのアイテムの一つだった。
結局90年代ブーム時で入手することが出来ず、いつか欲しいなと思いつつも
次第に熱が冷めてしまったことは、少し悔やまれる部分もあるが
こうして何十年も経った現在も、当時の熱狂や興奮が蘇って来る貴重な存在。
やはり8179は自分のファッション嗜好に、とても大きな影響を与えていると感じる。