REDWING COLUMN NO.62 レッドウィング 875から8179へ
レッドウィングのアイコン的な存在となっている、赤茶875と黒の8179。
875は1954年頃にデビューし、色味を変えながら現在も続く伝統的なモデルだが
黒の8179のデビューは1995年となり、875から遅れること40年と大きな差がある。
8179は90年代半ばのレッドウィングブームを牽引した一番人気のモデルで
この大ヒットが日本国内のレッドウィングの地位を築いたと言っても過言は無い。
その8179がどのように変遷して生まれて行ったのかは
近年では廃番モデルも絡んでいて、あまり語られることが無くなって来ている。
今回は875と8179がどのように繋がっているのかを振り返ってみることにした。
アイリッシュセッターの黒版、8179通称「黒セッター」。
当時爆発的なヒットをし、偽物が出回るほどの存在だった8179。
この8179が生まれるに至るまでは若干遠回りしていて
二つは直接繋がっていないのは割と意外に感じるかもしれない。
そして875は90年代半ばに大きくモデルチェンジされ、この真っ赤なタイプは
8875へ引き継がれるなど、この時期は日本モデルと絡みながらの入れ替わりが多い。
875→8175
レッドウィングが日本での正規取り扱いが始まったのは1982年からで
先ずは左の875をベースに日本代理店が別注した8175が1984年に登場する。
ウェルトとソールを変更してよりアウトドア向けのモデルとなった。
左よりも右の方が赤みがやや落ち着いているのは色の見直しで調整されている為。
8175→8176
そして8175のレザーをブラッククロームに変更した8176が1986年にデビューする。
本来付いている紐は黄色×茶色の物で、8175から引き継いだと言うのが良く分かる。
8176→8179
その後1995年に8176のウェルトとソールを変更し8179が生まれる。
これは90年代のファッションのカリスマの藤原ヒロシ氏が8176をカスタムしたことが
きっかけで、レッドウィング日本代理店が正規モデルに取り入れることになった。
そのカスタムは8176のウェルトはそのままで、ソールを右の白い物に変更し
紐も黒い物でシャープにまとめると言う物だった。
左のストームウェルト+ビブラムラグソールの組み合わせから
ノーマルウェルト+トラクショントレッドソールのスマートで履きやすいセットに
ブラックレザーの組み合わせが90年代に爆発的なヒットを生むことになる。
さらに8179が生まれた90年代半ばぐらいまでは、レザーが分厚く質が高いとされ
履き込んだ傷が茶色くなる茶芯レザーの個体がまれに含まれている。
今でもこの時期の物は中古市場でも大変注目されている。
上がビブラムラグソールで黒くゴツゴツとしていて、いかにもアウトドア向け仕様。
下のトラクショントレッドソールに比べて重く、やはり若干疲れやすくなっている。
トラクショントレッドソールは消しゴムのような素材なので摩耗に弱いが
ワークブーツをスニーカー感覚で履けると言うのは当時は結構衝撃的だった。
しかもソールを張り替えることが出来る為、半永久的に着用出来るのも大変魅力的。
875→8175→8176→8179
まとめると左から1954年の875、1984年の8175、1986年の8176。
そして最後の1995年の8179となっている。
一見すると両端は単純に色違いだけど、だいぶ遠回りをしたのが分かる。
これらの品番は875をもじった物となっていて
現在3桁品番は古くからある伝統的なモデルにのみ適用されている。
近年になって8175と8176は復刻されたがまた廃番となっている。
なので875と8179を繋ぐモデルが不在になってしまっていて
現在は変遷を少し端折ってしまいがちになっている状態。
この近そうで意外と遠い関係性を改めて振り返ってみると
兄弟と言うよりも親戚っぽい感じなのかなと思うところ。
こう言った愛着のある物のルーツを知るのもファッションの楽しみ方の一つ。