昔購入して着なくなってから、ずっと封印していた服の第五弾は古着のベスト。
左は四半世紀以上前の高校生の頃に購入してから、長い間保管していたダウンベストで
誰とどこに行って買ったとか、帰りに食べた物を今でも何となく覚えていたりする。
右の方は個人的にファッション熱が落ち着いていた2000年代に入手ということで
反対にこちらに関する記憶や、他に結び付くことがほとんど思い出せない。
右側のオレンジ色の物は肩のヨーク部分と身頃が別素材に切り替わっていて
アメカジ系ではド定番となる、所謂ロッキーマウンテン型のダウンベスト。
右端は一昔前の流行を感じる光沢の強い素材を使用した薄手のインナーダウン。
ここ最近のダウンベストは、右側のタイプが一般的になっていると思うけど
今回はそれとはギャップのある左側二つのアイテムを取り上げてみた。
先ずは紺色をベースにした、いかにも昭和レトロな雰囲気のダウンベスト。
フジテレビ系ドラマ「北の国から」の80年代初期の純が来ていそうなイメージ。
2000年前後に一部の間で、こういうデザインが微妙に流行ったような記憶がある。
大振りな襟の形状やこういった切替パターンは1970年代や80年代のスキーウェアや
アウトドアブランドなどで多く見られていて、当時の定番的なデザインだったらしい。
自分の子供の頃の冬のアウターや、手袋はこんな感じの物があったのを覚えている。
何気にこの「Alpine Designs/アルパインデザイン」というのが、知る人ぞ知るような
1960年代から本格的なアウトドアアイテムを展開していたアメリカのブランドらしい。
日本でも1970年代や80年代に取り扱われて、特にバックパックが人気だったそうで
このダウンベストはおそらくその時代の1980年代頃の物と思われる。
今でも「Alpine Design」という最後の「s」の無い、キャンプやアウトドアブランドが
あるみたいだけど、このアルパインデザインとの関係は分からない。
ジッパーに付けられたチャームと裾にアクセント的に入った刺繍もエーデルワイス。
良く見れば花だって分かるけど、昔はてっきり雪のマークだと思い込んでいた。
しかも裏から見れば分かるのに、刺繍は補修跡だろうと何も不思議に思わなかった。
このベストに詰められている素材はグースダウン(ガチョウの羽毛)が使われていて
一般的にはグースダウンはダック(アヒル)よりも羽毛が大きく、高品質とされている。
状態は良いけど古着なので、2900円に+消費税3%(時代を感じる)ぐらいだったと思うけど
現在のアメリカでこういう物を作って輸入したら、かなり高額になってしまいそう。
グースダウンを使っていること以上に驚かされたのは、裾の分厚い極上素材のリブ。
画像からでは伝わりづらいけど毛玉もほとんど無く、低反発具合が非常に優れている。
やはり古い時代の物はパーツや素材一つ取っても良い素材を使っていると感じる。
ただし良いところばかりではなくて、やや中央寄りにあるお腹のポケット。
ポケットに手を入れて指を伸ばすと、甲が半分ぐらい露出してしまう。
近年の物はポケットが外側か斜めに付けているのでこういう点は改善されている。
トビウオギタオ17歳、このダウンベストを着ている昔の写真を発見。
雪柄のセーターに太めのコーデュロイパンツとアディダスのスニーカーとは渋い。
ほとんどのアイテムは、原宿にあったゴリーズという古着屋で買ったのを覚えていて
このセーターは確かワゴンセールみたいな感じの激安価格だった記憶がある。
当時は東横線の桜木町から代官山まで行き、渋谷を経由して原宿まで古着屋を見て回って
ご飯を食べて折り返し、安くて気になったアイテムを買って帰るのが恒例になっていた。
続いてこちらは鮮やかなグリーンの薄手のナイロンキルティングワークベスト。
この色は2022年レディースの春夏トレンドカラーだったということで
かなり際立っていたので良く目にしたけど、今はだいぶ落ち着いた様子。
表側は光沢感とざらつきがあって、ややチープな印象を受けるナイロン生地に
裏側はスポンジのようにふかっとした素材のライニングになっている。
ボタンはバチっと留めるスナップボタンを採用している。
ポケットは手を入れる為ではなくて小物など用という感じの浅い形状。
これは「H&R Mfg.」という、1969年に設立されたアメリカのテキサス州の
スポーツ向けアイテムやワークウェアなどを製造していたメーカーの物らしい。
年代は80年代のようで、検索すると同じタグの物がいくつか見つかる。
タグには擬人化したジャイアントビーバーみたいな味のあるキャラクター。
このベストの一番のポイントになるかもしれない。
シンプルなパーカーと合わせてみたところ、意外にも左の方はジャストサイズ。
右は少し小さいので前を留めずに薄手の物の上から羽織る用という感じ。
昔のアウターは腕がやたら太かったりするけど、ベストだとシルエットは全く気にならない。
敢えて似たようなアイテムにして、レッドウィングのブーツのレザーも揃えてみた。
両方ともアメカジには変わらないけど、左はアメリカのオジサン感がとても強くて
逆に右の方は元TOKIOの長瀬君みたいなワイルド系アメカジという感じ。
ベストを入れ替えるとオジサン感とワイルド感が減って、この面白みが半減してしまう。
特に切替のデザインの方は何とも言えない雰囲気からも、アリのようなナシのような
実際に着るには少しばかり勇気と、誰かの後押しみたいなのが必要だなと感じる。
こういう物がいつかまた流行るんだろうけど、その時には着たくはならないだろうし
結局は今着ないと、タンスの肥やしのままになってしまうんだろうなと思う。