REDWING COLUMN NO.81 レッドウィング プレーントゥ 8165系と8166系
今回はレッドウィングのプレーントゥ、もしくはラウンドトゥの系統について。
以前に書いた「8165と8160の関係性」についての記事の補足というか
元々一つの記事として書いていたけど、こういうマニア向けな内容になると
どうしても膨大になってしまったので二つに分けることにした。
その為内容が重複している部分もあるけど、個人的な考察も含めて解説している。
右の赤茶の8166は1984年デビューと、日本別注モデルとしては初期からある物で
左の黒の8165は1995年からと10年ほど販売開始の時期に違いがある。
共にベースになったのは、80年代前半まで存在していた766というモデルで
8166は品番に「66」が付くことからも、766を引き継いでいるというのが分かる。
この二つのモデルは単純に色違いではなく、仕様が微妙に違っている。
左の黒の8165は上段三つがフックが付く仕様になっていて
右の赤茶の8166は上段三つはハトメという異なった仕様となっている。
ベースとなった766は8165の様にフックが付く、所謂旧来のワークブーツ仕様で
一概にフックの有無でワークブーツかどうかを定義出来るものではないが
8166はこれを敢えて外し、アイリッシュセッター875のプレーントゥ版として
ラインナップさせたくて、この仕様にしたのではないかと考えている。
左からガラスレザーの8160、8165、8166、ラフアウトレザーのベージュの8167の
4足を並べてみたが、もしかしたら勘の鋭い方はすぐに気付くかもしれない。
ちなみに両端は現在廃番モデルとなってしまっている。
この4足は一見色違いに見えるけど、この様にフックかハトメ仕様かで
左の8165系と右の8166系の二つの系統に分けることが出来る。
↓の8163は8165系で、例えばラフ&タフの9111なんかは8166系になる。
フックが付く8165系のプレーントゥモデル。
8165という品番は、茶色のガラスレザーの旧モデルから使われていたが
左の黒の8165が引き継がれた経緯を書くと長くなるので、ここでは割愛する。
詳しくは以前書いた↓の記事で解説している。
REDWING COLUMN NO.78 レッドウィング 8165と8160の関係性 - 赤い羽BLOG
上段三つのフック仕様はベースとなった766を色濃く引き継いでいて
このタイプのブーツは着脱がとてもスムーズに出来る。
そしてフックではなく、全てハトメ仕様の8166系のプレーントゥは
766の影響色濃い8165系とは違って、少し別方向へ進化して行った系統と言える。
右の8167は左の赤茶の8166をベースに、レザーをラフアウトという起毛素材に変更し
1995年から2019年頃まで製造し販売されていたモデル。
8166は年代によっては、半円犬タグというタグがベロの右足側に付く。
アイリッシュセッターモデルの定義は例外も多いので一括りには出来ないが
この半円犬タグはアイリッシュセッターに分類されないと使われないので
8166と8167の関係が深いことから付けられていたと思われる。
後述するが、同年代の8165はまた別の種類のタグが付けられていた。
※アイリッシュセッターとは、1950年代に生まれたレッドウィング社の
ブランドやカテゴリーで、その名の通りで主に猟犬のアイリッシュセッターのような
色合いのレザーを採用した、ハンティング用やアウトドア向けブーツのこと。
簡単にまとめると766を源流として、枝分かれしているというのが分かると思うけど
こういう解説は公式サイトではピックアップされていない部分なので
ショップスタッフでもベテランの方でないとすぐに説明出来ないかもしれない。
※766と旧8165は所有していないので見た目の近い8160で代用。
そしてこの画像の通りに、8165系と8166系の1995年頃から97年頃までは
別ジャンル扱いとして、それぞれ羽タグと犬タグに分けられて付けられていた。
1997年から98年に掛けては、日本向けモデルのアイリッシュセッターの解釈が
緩く広がって一時的に犬タグに統一されるモデルが多くなって行き
その後1999年途中に羽タグに変更され、現在は細分化されて復刻されている。
※8166の初期の80年代は羽タグで、途中から犬タグに変更とのこと。
羽のデザインのタグは企業ロゴで、犬のデザインのタグはその企業のブランドで
時期によってはスタイル別に分けられたり、あるいは大きくひっくるめて統一されたり
どちらをメインとして打ち出すかで採用されるタグも違っていた。
何故このモデルはフックが付くのか、またはハトメなのか?
こちらは犬タグで、片やこちらは羽タグが付けられているのか?
先程も書いたように公式サイトではこういう細かい理由については
あまり触れられていないので、もしかしたら昔から疑問だった方もいたはず。
今回の様にこの何気ないディテールに込められた意味を理解すると
また一味違った見方や楽しみ方が増えて行くかもしれない。