REDWING COLUMN NO.50 レッドウィング 9011 ベックマンブーツのメンテナンス。
ベックマンブーツはレッドウィング社の創業者の名前を冠しているモデルで
ワークブーツの中でも、「クラシックドレス」と言うジャンルに属す物。
かつては紳士靴=ブーツ丈が一般的だったそうで
これは20世紀初頭の古い時代の物を再現している。
9011は旧品番でアウトソールが劣化しにくい物に
仕様変更になった為、現在は9411に品番は変更されている。
ちなみに自分の物はアウトソールを他の物に張り替えている。
このモデルに使用しているレザーは「フェザーストーン」と呼ばれ
革として精製出来る内の滑らかで希少な部位を使用し
光沢感が出る様に鞣している為、ビジネスシューズなどのように
乳化性クリームなどで仕上げることが推奨されている。
フェザーストーンと言う名前はレッドウィング社のある
米国ミネソタ州レッドウィング市の地域の通称とのことだが
羽のしなやかさと、石の強固さや頑丈さを表しているとも言われている。
レッドウィングの魅力の一つは、使用するレザーを自社で開発した物で
補うことが出来る為、現在も比較的良心的な値段に収まっていることがある。
メンテナンスに用意したのは無印のシューキーパーに
レッドウィングの馬毛ブラシ、毛が硬めの豚毛ブラシ。
モゥブレイのステインリムーバー、クリームエッセンシャル
補色用の色付き乳化性クリーム、仕上げ用のクロス。
雑巾と汚れ落としとクリーム塗布用の布。
最近は9011のメンテをする時は、レッドウィング純正の物はブラシのみ。
↑は週5か6ぐらいのハイペースで、ノーメンテで履いていた頃。
レッドウィングをハードに昔のスタンスで履くとこうなる。
当時は仕事や自転車に乗る時など、何も気にせず履いていた。
これはこれで一部からは良いと言う評価があったりする。
この後は推奨されるメンテナンス方法で行うようになった。
紐を外し、シューキーパーを入れて馬毛ブラシで埃落とし。
自分は保管中に詰める物は基本的に新聞紙を使っている。
紐を外すと徹底的にやってやろうと言う気になって来る。
表面などは比較的こまめにメンテナンスして来たが
細部を見るとこんな感じで荒れている部分もある。
ハトメ周りの物は緑青(ろくしょう)と呼ばれる物で、銅や真鍮などから出る錆。
レザーの油分なども発生の原因になり、これは避けて通れない物。
つま楊枝などで丁寧に取り除くが、完全に除去するのは難しい。
レザーの色が濃いめならある程度ラフに拭き取っても問題ない。
ステインリムーバーを布に取り、汚れと古いクリームを取り除く。
普段はそのままクリームを重ね塗りしてしまうので
本当に何年振りに落としたか覚えていないぐらいに行った。
この時の左の状態が光沢感がほぼ消えたすっぴん状態。
お湯で温めた雑巾の水気を良く絞り、全体を水拭き。
表面の水気が落ち着いたら、雑巾の繊維をブラッシングで落とす。
この時のブラッシングで不覚にも光沢感が少し戻ってしまった。
フェザーストーンのポテンシャル恐るべし。
外した紐もここで水拭きしておく。
この紐はワックスが付いているタイプで多少べとつきがあるが
水拭き程度で完全に落ちる様なことはない。
傷の補色に使っているのはモゥブレイのレッドマホガニー色のクリーム。
全体には塗らず、気になる部分のみに塗り込み、豚毛ブラシで馴染ませる。
このレザーはブラックチェリーと言う名前の色で、赤黒い色をしている。
現在はレッドウィング純正のクリームでバーガンディーがあるが
自分がベックマンを購入した時はニュートラルしかなく
補色するなら他メーカーと言うことで、色が近いレッドマホガニーを選んだ。
これ専用なので、十数年前に買ったが全然減っていない。
全体の仕上げは同じくモゥブレイのクリームエッセンシャル。
以前はレッドウィングのクリームを使っていたが
クリームエッセンシャルの方が伸びが良く使いやすいので重宝している。
補色した部分は若干色が抜けてしまうので、布に取って手早く全体に塗り込む。
履き口のパイピングやウェルト部分なども念入りに塗り込む。
羽根の付け根の部分は結構負荷が掛かっているので
そこは補色クリームも重点的に塗り込んでいる。
レザーインソールもクリームを塗って潤いを与えておく。
次のシーズンや久々に履いた時の履き心地が違ってくる。
インソールが飴色を越えて、こげ茶色になってしまっているが
これはしばらく週5.6のハイペースで履いてしまった為。
ブーツ内の湿気が抜け切る前に連続で履き、酷使してしまうと変色しやすい。
近年は1日履けば数日は休ませることが推奨されている。
クリームを塗った後は馬毛ブラシとクロスで仕上げる。
左はブラシ&クロスで右はブラシのみ、やはり左の方が光沢感が強い。
いつも使っているブラシだとそれだけで充分だと思っていたが
新しい馬毛ブラシでは思った以上に光沢感が出なく
↓の記事に書いてあるように、ブラシが育っていないのを痛感した。
一応補色&クリームエッセンシャルで仕上げる前と後の比較。
乳化性クリームだとナチュラルな補色なので雰囲気を損なわずに仕上がる。
油分がしっかり入り、表面も色がかなり引き締まっている。
もっときっちり補色をしたい場合は顔料系のクリームで行う必要があり
そちらは↓の記事に書いてある。
紐をびしっと通して完成。
自分は保管中も着用時に近い状態にしているが
これは緩めた方が良い派と別れているようで、どちらでも良さそう。
今年はブーツを履いて外出する機会が激減してしまったが
その代わりに普段やらないような、少し細かめのメンテナンスもして
愛用のブーツを労う期間に当てるのも良いかなと思っている。