REDWING COLUMN NO.48 レッドウィングの流行とその時代の人気モデルについて。
レッドウィングは1905年にアメリカで設立されたブーツメーカーで
現在はアメカジ系ファッションの定番アイテムとして根付き
幅広い世代や多くの有名人にも愛され続けているブランド。
過酷な環境下で着用出来るワークブーツを中心にラインナップされていて
日本で流通する商品は、オシャレ向けに限定された一部の物だったりする。
1982年に日本国内で正式に取り扱いが始まって以降
レッドウィングのブーツが一般に広まるようになったブームが
現在までに何度かあり、その時代の人気モデルをざっくりと紹介。
第一次ブーム1980年代後半~90年代初め「渋カジとエンジニアブーツ」
1980年代後半~90年代初め頃は「渋カジ」と呼ばれたブームがあり
レッドウィングの第一次ブームがその時期になる。
当時の渋谷の若者が昇華したアメカジスタイルは渋カジと言われ
レザーやフライトジャケットなどのハードめのスタイルに合わせて
レッドウィングではエンジニアブーツが大きな市民権を得た。
この時期にハマった方はレッドウィング=エンジニアと言う印象があるようだ。
日本でアメカジファッションの流行に大きく影響を与えたのは
それに関連したアイテムやアメリカ製のブランドが人気となる。
レッドウィングでは「875」と言われる、アイコン的なモデルのブーツが
雑誌などで多く取り上げられ、注目を集めて行く。
(色合いが90年代初頭っぽい色合いをしている為、上画像は8875を並べている)
第二次ブーム1990年代半ば~後半「アイリッシュセッター」
渋カジで流行したが、追い打ちを掛けるように爆発的ヒットしたのが
1990年代半ば~後半で、この時期は日本国内のレッドウィングを語る上で
最も重要と言っても過言は無く、流通量や人気の絶頂期になる。
自分は正にこの世代に当たり、いずれもっと詳しく語りたいところ。
それまでレッドウィングは男性のハードめスタイルや
ワークやアウトドアなどの本格的なアイテムと言うイメージがあり
そのイメージを払拭したのが、この白いソールを採用したモデル。
街中でも歩きやすく、色合いのポップさから人気を集める。
「アイリッシュセッター」と呼ばれるモデルを中心に
正規代理店が国内仕様に変更した、日本別注モデルが次々と展開されて行き
手前の黒い8179と言うモデルが大人気となり、偽物が出回る程だった。
この時期は世代やファッションスタイルを問わず
女性の愛用者も多く、第二次ブーム後半はギャル男にも広がって行く。
特に需要が多かったのはモックトゥのタイプで
丈の長いペコスブーツもとても人気があった。
第三次ブーム2000年代後半~「レトロワーク」
2000年代に入り、それまでの爆発的人気は落ち着きを見せて行くが
2005年にレッドウィングの日本法人が設立され
積極的な雑誌掲載やブログやSNSなどを通じ、じわじわと広まって行き
2000年代後半に第三次ブームが訪れることになる。
「ラギッドスタイル」と言う、都会的なアメカジ系ファッションが注目され
ポップな白いソールよりも、濃い色付きソールのモデルが人気を集め
代表的なモデルはベックマンブーツやアイアンレンジ。
「セミドレス」や「サービスシューズ」と言われるジャンルの
オフィスカジュアルや、ちょっとしたパーティーなどにも対応出来る
光沢感が強くレトロでクラシックなモデルが多く展開される。
以前まではワークブーツはラフに履くのが一般的だったが
綺麗にメンテナンスするのが流行り出したのもこの頃から。
ソールを自分の好みの物に張り替えてカスタムする文化も根付き
一つのブーツを一生モノとして、より深く味わうようになった。
この時期はプレーントゥの茶系モデルに人気が集まり
90年代ではマニアックな部類だったモデルも再評価されるなど
ニーズが多様化したのも、第三次ブームの特徴。
第一次や第二次ブーム以降、遠ざかっていた方も
改めてレッドウィングを履くようになることも多かった。
人によってはもっと細かく分類も出来るし、違う部分もあるかもしれないが
個人的には大まかなブームは上記の三つだと思っている。
2010年代以降は旧時代を再現した復刻モデルが多くラインナップされ
それぞれのブーム時の仕様などの良い所取りをしている。
現在はニーズの多様化が更に進み、ファッションスタイルのジャンルを越えて
まとまった支持を得る様な、大人気モデルはあまり無く
それぞれの好みのスタイルを継続するような傾向にある。
次のブームはいつになるのか全く見当が付かないが
あまり日の目を見ていないマニアックなモデルが人気になるはず。