REDWING COLLECTION NO.38
RW-8268 PT83タグ 91年8月製
レッドウィング8268は1989年頃にデビューしたモデル。
渋カジと呼ばれた当時のファッションブームを牽引していた
渋谷の某有名アメカジショップが、黒の2268を元に別注した物。
ネイティブ調のスタイルに目を向け、このラフアウト素材が採用されたそうだ。
8268は1991年からレッドウィングの正規品番になり、現在もラインナップされ
某検事ドラマの主演や有名ミュージシャンなどが愛用していたことでも有名で
レッドウィングファンならずとも、気になるアイテムの一つになっている。
エンジニアブーツは時期によって仕様が大きく変わって行くが
この時期の8268は、ベルトが他のモデルよりも低く付けられているのが特徴。
パンツの裾からベルトが見せられるようにデザインされていて
実用性よりもファッション向けなのが如何にもショップ別注らしい。
シャフトと呼ばれる筒状の部分が細い仕様は2006年頃まで。
毛足の長さにそこまでの荒々しさはないが、履き込むことで表情が変わって行く。
アンクルストラップとも言われるベルトの位置の違い。
左はブラッククロームの2268、時期も少し違うので甲の高さに違いもある。
左の通常位置に対して、右は「低ベルト」などとも呼ばれている。
この仕様は2003年頃に生産されたモデルから通常位置に変わる。
8268の他には、90周年記念のヌバックレザーの8248も低ベルト仕様だった。
PT83タグは1990年頃から採用され、表記はプリントされている。
トゥの安全基準の規格が、83年に制定されたと言うことになり
次の規格のPT91への移行は1992年の後半ぐらいからと思われる。
ちなみに8268の最初期は、縦羽と呼ばれたベーシックな羽タグが付き
ブーツ本体にANSI~PT83~の刻印が入っている。
その頃の物を復刻しているのが現在の9269と言うモデル。
PTタグや羽タグはこちら↓
丸みがあって膨らんだスチール入りのトゥ。
ウェルトは黒味があり、ステッチは灰色になっている。
やや白っぽい色のラフアウトもしくはスエード素材。
90年代半ば頃は赤みが増し、もっと黄色っぽくなる。
先述の9296は90年代半ばぐらいの色合いを採用している。
ラフアウトについてはこちら↓
バックルはやや薄く平らな形状の物。
PT91期後半の90年代終わり頃に変更されるまで続く。
Texon社製の紙のようなインソールを使用していて
革製とは違い寿命は短く、長く履けばボロボロになってしまう。
中敷きを入れて対応するか、かなり大掛かりになるがリウェルト込みの
アウトソール交換時に、インソールを張り替えることになる。
ネオプレーンコードソールは、デュポン社が開発したネオプレーン素材に
コード=紐状のナイロン素材を混ぜ、耐油性を上げている。
白くゴミのような物が付いているように見えるのが、そのナイロン素材の紐。
近年の新しい物はここまで目立たないようになっている。
Rの付いたヒールはロガーヒールやロガーシェイプと呼ばれる物。
ヒールベースは樹脂で出来ていて、割れてしまうこともある。
元々すごく綺麗な状態で、ほとんど履かれていない状態だったので
シャフトがまだピンとしたままを保っている。
一応丸洗いをして、長年の汚れや埃を落としてリフレッシュ済。
履くにはもったいない気がしているので観賞用になってしまいそう。
丸洗いからオイルアップまではこちらの工程を行った↓
右がPT83の後の年代となるPT91仕様95年製8268。
個体差もあるようだが、ベルトの位置の感じが少し違う。
ベルト位置の関係でピンを通す穴の調節の具合も変わっている。
シャフト上部の形状などにも違いがあるようだ。
8268の低ベルト仕様のモデルは現在も人気モデルの一つになっている。
復刻版の9269も完成度がとても高いが、当時のオリジナルにこだわりたい方も多く
8268の旧仕様で状態の良い物はとても少なくなって来ている。
ラフアウトは素材上汚れやすいので、一見かなり汚れていても
ケア次第で劇的に状態が良くなることがあるので、色々と試す価値はある。
右のPT91はシミなどは残っているが、丸洗いでかなり綺麗にすることが出来た。