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Levi's VINTAGE Detail Vol.4 1950年代16刻印の詳細&その他刻印の工場判明

Levi's VINTAGE Detail Vol.4 1950年代16刻印の詳細&その他刻印の工場判明

数年前に記事にした「16刻印」の工場判明&3桁刻印編を投稿した時よりも、更に詳細に解析されて

自分の所有する16刻印501XXが、リーバイスマニアに有名なあの「16工場」製ではないことが判明。

前回は不明だったものの、新たに判明した二つのアイテムの刻印についても触れてみることにした。

 

20年以上前に現在では考えられないほどの破格な値段で入手した、1950年代のリーバイス501XX。

ヴィンテージマニアが好むようなバキバキのヒゲは入っていないものの、目立つダメージがほとんどなく

50年代としてはやや細身な個体で、ウエストとレングスがこれ以上ないほど自分にぴったりな一本。

この上品なフェード感も気に入っていて、小綺麗なアイテムと合わせたくなるイメージ。

今回の情報源も以前と同様に柴剣談話室という、ご自身の所有アイテムや有志の方などの情報を駆使し

判別が曖昧だった古い年代のリーバイスを解析されている方のブログを参照にさせて貰っている。

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ボタン裏の刻印とは

先ずはおさらいとして、リーバイスジーンズやジャケットなどのボタン裏には1950年代頃から

ボタン裏や初期には古いディテールの隠しリベットなどに、数字やアルファベットが刻印されていて

その刻印は生産された工場や地域を意味することであると、近年になって解明されるようになった。

ジャケット類とボトム類では、文字が切り替わる仕様変更の時期に若干の違いはあるものの

この刻印を見れば大まかな年代と、そのアイテムの生産背景を読み解くことが出来てしまう。

 

16刻印とは

そしてリーバイスやヴィンテージマニアに有名な、16刻印についての簡単な説明。

リーバイスの1960年代後半~70年代頃のモデルと比べて、それ以前の古いパーツや仕様が見られ

その不思議な個体のボタン裏には16と刻印されていることが多く、謎の工場として語られていた。

そして近年になって、その16刻印は「Lucky Star Industries, Inc.」(以下ラッキースター社)という

ミシシッピ州ボールドウィンにある当時リーバイス製品を委託されていた、別会社で生産された物と判明。

古いパーツが見られるのは無駄なく使い切る為と、別会社ならではの製品基準の曖昧さに加えて

どこか別の工場の閉鎖に伴った資材、資料などを引き継いだということも考えられている。

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更にラッキースター社で生産された古い個体には、社名の頭文字である「L」が入っていることも分かり

1960年代後半や70年代の刻印変更で「16」に変更し、80年代頃に「653」という流れになっている。

工場が稼働して生産開始は1958年からとなり、稼働初期の数字については調査中とのこと。

 

50年代の16刻印

その委託されたラッキースター社が、リーバイス製品を作り始めたのは1958年からとされているものの

16刻印自体はそれ以前にもあり、所有する個体からも実際の稼働はもっと古いと思っていたところ

どうやら表記パターンから1950年代の16刻印と、1960年代以降の16刻印は別物らしいと判明。

(ここでは1950年代に入った刻印を旧16刻印とし、1960年代以降を新16刻印とする。)

現在も解析の真っ最中でまだまだ不明な点が多いものの、1950年代の刻印は1工場=11刻印とし

10工場=20刻印となるように、リーバイスの製造工場の稼働年の古い順番から割り振られていて

その法則から旧16刻印は、6番目の1947年稼働開始の工場で生産された個体ということだそうだ。

つまり1958年からの新16刻印ラッキースター社に50年代の刻印があれば、別の数字であることになる。

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そして1950年代の旧16刻印の6工場は、後の「6刻印」やアルファベットの「E」「524」で知られ

近年にも再稼働された、あのテキサス州エルパソ工場の前身で作られた個体ということになるそうだ。

その前身のエルパソ工場はリーバイスから製造を委託された、別会社の一つであったことも判明し

60年代後半以降エルパソは大きな拠点だったことから、その辺りに買収や引き継ぎをしたと思われる。

ちなみに全盛期のエルパソ工場はその地域に部門別でいくつかあり、一番有名な「524」の他に

「520」「522」「525」もあり、自分の70505は一つの個体に「522」と「524」が付いている。

 

ラベルの表記と刻印

刻印の変遷の簡易的な説明として、ボタン裏の刻印とラベルの表記についての補足。

工場番号が他部分に入り始めたのは1970年代に入ってからで、80年代ではこう表記される。

今回の場合はラベルの表記とボタン裏刻印が同じだけど、移行期になるとラベルに「6」とあるのに

ボタン裏には「524」と入る場合があり、同時に刷新されずに少しずつ仕様変更されることになる。

このことから「6」と「524」は同一工場となり、更に年代を遡るとフライボタンとトップボタンに

「E」と「6」に刻印が分かれる場合があって、異なる文字が入ることで新旧が繋がるという訳。

 

90年代後半になるとラベルもかなり大きくなり、様々な数字が入って細かく管理されている。

そして「555」は2002年に閉鎖して別の施設になった、リーバイスの伝統的なバレンシア工場製。

このバレンシア工場のかつての刻印も「11」→「F」→「1」→「555」であると判明していて

この「F」は都市名である「San Francisco」のFranciscoの部分から取られたものだそうだ。

何故「S」ではないのかというと、ミズーリ州の「Sedalia」工場に割り当てているとのことで

初期の1950年代から「15」→「S」→「5」→「650」、これも生産が委託された別会社らしい。

余談ではあるけど今回改めて刻印を見ていたら、555でもフォントが微妙に違うことに気付いた。

 

現在判明したその他の刻印

そして数年前には不明だった「2」刻印と、アルファベットの「O」刻印についても判明。

ジーンズなどのボトム類は、60年代半ば頃にアルファベットから一桁もしくは二桁の数字に切り替わり

その後80年代に入ると、524や555などの三桁の数字に切り替わるという流れになっている。

しかしGジャンなどのジャケット類に関しては、一桁や二桁の期間がほぼない為、ジーンズなどよりも

おそらく15年近く早い時期から三桁の数字が始まるという変遷の仕方になっている。

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初期の70505などのGジャンに見られるアルファベットの「O」刻印は、1966年から稼働を開始した

アメリカ国内ではいくつかある地名の「Fayetteville」という、アーカンソー州の工場とのこと。

既に「F」=バレンシア工場なのでFを外し、「O」なのは「Oberman Manufacturing Co.」という

別会社を買収していることに由来して、その元の社名の頭文字が使われているということらしい。

刻印の変遷は60年代半ばの初期「O」に始まって→「52」→「527」や「530」が確認されている。

リーバイスの拠点が大幅に増えた1960年代や70年代は、元は他社が母体でこういう買収された工場が

Gジャンなどのジャケット類を生産する大きな役割を担っていた、なんて記述もあるんだとか。

 

「2」刻印はリーバイス本社のサンフランシスコと同じく、カリフォルニア州の「San Jose」工場製。

大まかな地名からしても、バレンシア工場から車で行っても1.2時間とかそこらの距離らしく

2刻印は古い部類の工場だと何かで知っていたけど、1933年稼働開始ということで他よりも早め。

刻印の変遷は1950年代ルールの「12」に始まり、例によって「San Jose」の「J」→「2」→「558」。

1984年に閉鎖されたとのことなので、501でいうと赤耳モデルまでを生産していたことになる。

所有する2刻印は1975年製の通称「66前期」と呼ばれ、この時期はエルパソ工場の6刻印率が非常に高く

定義は別としても、昔は66=6刻印という、ざっくりとした判別や解釈の仕方をしていたのが懐かしい。

 

終わりに

刻印の謎は当分更新されないかと思っていたら、数年ほどで随分と進展があって驚いた。

自分の16刻印XXはラッキースター社ではなかったものの、奇しくも生産が委託された別会社だったとは

最初は少し残念な気もしたけど、その生産背景を思い浮かべると価値が更に上乗せされたような

こうやって今回判明したことは、それまでの自分に新たな発見と知識を与えてくれた。

 

自分が現在所有するリーバイスの中で刻印の変遷が不明なのは、この二つのコーデュロイGジャンで

二つとも「529」刻印が入り、ニューメキシコ州の「Hobbs」工場で作られた個体になる。

あくまで予想に過ぎないけど、この工場は設備投資が盛んだった1960年代半ば以降からの稼働で

529になる前のアルファベット刻印自体がないのではと思っているけど、またいつか情報が更新されて

他の刻印も含めて解明されることを密かに期待しながら、今シーズンも着用したいと思っている。

ヴィンテージリーバイスが気になる方は、柴剣さんのブログのチェックを欠かさずに。

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