赤い羽BLOG

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REDWING COLUMN NO.103 レッドウィング8268 エンジニアブーツ メンテナンス編

REDWING COLUMN NO.103 レッドウィング8268 エンジニアブーツ メンテナンス編

レッドウィングのラフアウトレザー、もしくはスエードのエンジニアブーツ8268は

1991年製PT83と1995年製のPT91という、規格違いで現在は2足所有している。

この8268は既に生産終了してしまっているが、老舗アメカジ店の別注モデルとして始まり

大物俳優からアーティストまで、各界の著名人に愛用者が多いことでも知られている。

個人的にはエンジニアブーツのシーズンは終了したので、梅雨入り前のこのタイミングで

リフレッシュさせ、来シーズンもばっちり履けるようにメンテナンスしておいた。

エンジニアブーツは他のモデルとは違った見方があるので、解説も少し加えてみた。

 

「PT」とはProtective Toeの略で、トゥにスチールを入れた安全靴に定められた規格になる。

PT83(ピーティーハチサン)やPT91(ピーティーキュウイチ)の数字はその規格年に当たり

これは8年毎に更新され、後継モデルはPT99へと引き継がれるという流れになっている。

規格の更新によるタグの変更は大体翌年に行われる様で、PT83は1992年の前半頃まで

PT91とPT99の切り替わりのタイミングは、おそらく2000年の前半頃と思われる。

ここでは解説を省略するけど、左のPT83は91年8月製で、右のPT91は95年4月製となっていて

1994年の途中から工場番号のP〇と二桁の製造年の刻印が入り始めるようになる。

ちなみに95年なら「95」の刻印が入るはずが、画像の様に無い場合もある。

 

エンジニアは専門外なので詳しいことは分からないけど、シャフトの長さや形状が違う。

8268の最大の特徴でもある低ベルト仕様は、年代によって微妙に調整されているようで

ベルトの長さや穴のある場所、バックルの位置関係などに違いが見られる。

個体差とも言われるけど、PT91がよりバックルが下に来るように変更したと思われる。

ラフアウトレザーは古い個体ほど毛足が長い傾向にあり、90年代半ばから後半頃は

基本の白っぽいベージュではなく、少し赤みを加えたような黄色っぽい色をしている。

ウェルトのコバの色味や縫い付けのステッチの色味も違うけど、残念ながら詳細は不明。

 

赤い矢印はサイズなどの刻印が入る部分で、PT83とPT91ではタグの取り付け位置が違い

つま先方向を12時としたら、PT83は10時と11時の間でPT91は7時と8時の間ぐらい。

以前から違うとは思っていたけど、気になってしまって画像検索を駆使して調べたところ

古い個体はつま先側にタグが付くようで、おそらくPT83の最終となる92年製ぐらいから

PT91以降のタグ位置となる7時と8時の間に変更されて行ったと思われる。

必ずしも当てはまらないかもしれないけど、未だにこういう発見があるのが面白い。

 

少し解説が長くなってしまったけど、今回のメンテナンスで用意したのはこれらのアイテム。

レッドウィングの馬毛ブラシ、スエード用真鍮ブラシとウェルト仕上げ用の化繊ブラシ。

部分汚れ落としのクリーナーバー、クリームやクリーナー用の布切れと綿棒。

モゥブレイのモールドクリーナー、クリームエッセンシャル、スエードカラーフレッシュ。

 

ベルトを外して基本のブラッシングからメンテナンス開始。

ガッツリ行きたいところは真鍮ブラシ、ソフトに行きたいところには馬毛ブラシと使い分ける。

この馬毛ブラシは現在ラフアウト専用にしている2000年代後半製の物。

 

毛足の長い箇所をブラッシングすると、この様に大量に毛が抜ける。

ラフアウトレザーを室内でメンテナンスをする際には掃除機が必須。

 

こういう擦れた汚れが気になればクリーナーバーを使って落とす。

染みやインディゴの色移りにはあまり効果がないので、薄汚れ用という感じ。

全体を綺麗にしたいのであれば、思い切って丸洗いをしてしまうのもアリ。

 

真鍮ブラシ→馬毛ブラシで表面を整えたら、スエードカラーフレッシュをスプレーする。

スエードカラーフレッシュはこれ1本で栄養補給と防水、色褪せ防止効果があるという優れもの。

使用の際に缶を振らないことと、オイルみたいな臭いがあるので換気には注意。

 

右がスエードカラーフレッシュを全体にスプレーした後の状態。

濡れた感じになるので最初は少し不安になるけど、すぐに揮発して行って元に戻る。

特に汚れやすかったり、濡れやすいトゥやバンプにはたっぷりとスプレーしておきたい。

 

スプレー後は30分ほど放置とのことなので、ブーツ内部の換気を兼ねて日差しに当てておいた。

スプレー直後は嫌な臭いがあるけど、乾くと全く臭わなくなるので安心。

この日は天気が良かったので、結局このまま放置して続きは翌日に行った。

 

ラフアウトレザーはどちらかと言えば、表面よりも内部の方がカビのリスクが高いので

モールドクリーナーを布に吹き掛けて使い、掃除を兼ねてカビ予防をさせておく。

つま先の奥の方まで手を入れて状態チェックをしながら、こちらもしっかりとカビ予防。

インソールは一見レザーで出来ている様に見えるけど、Texon(テキソン)社製の紙の様な素材と

ファイバー素材の組み合わせで出来ていて、2008年頃からはレザーになったとのこと。

 

他のレザーのモデルであれば、間接的にウェルトのオイルアップもされることになるけど

ラフアウトだとここは放置になりがちなので、クリームエッセンシャルを綿棒に取り

コバ部分のみを狙って塗り込んで、硬い毛質のブラシでしっかり磨いて仕上げる。

クリームエッセンシャルは水分が多く、ミスしてブーツ本体に少し付いてしまっても

ブラッシングで馴染ませられるので、そういう失敗リスクが少ない点でも重宝している。

 

油分が入ることで色が濃くなるけど、ウェルトの強度が増して寿命が長くなるのは間違いなく

出来るだけ仕上げのブラッシングは本体に絡まない様に、外に逃がすことを心掛けている。

やはり自分の所有するPT83とPT91ではウェルトの風合いが全くの別物。

 

最後に気合を入れて真鍮ブラシ、馬毛ブラシの順にブラッシングで仕上げる。

真鍮ブラシだけだとブーツに抜けた毛が残るので、馬毛ブラシは必要かなと思う。

 

左がブラッシング前で右がブラッシング後の状態。

ブラッシング前はやや毛が寝ていて、ブラッシング後は毛が起きているのが分かる。

カサカサしていた状態がふわふわと柔らかくなるので、見た目よりも手触りの変化が大きい。

 

全てブラッシングを済ませて、ベルトを所定の位置に通してメンテナンス完了。

たかだか二足なのに本気でブラッシングをすると汗だくになってしまった。

保管時には新聞紙などを詰め込んで、シャフトがしゃきっと立つようにしておきたい。

 

スエードカラーフレッシュに防水効果が本当にあるのか気になって、水を掛けてみたところ

すぐに吸い込む印象が残っていたけど、画像の通りに確かに水を弾いていた。

但し少し放置すると沁み込んで行ったので、やはり新品や丸洗い後のフレッシュな状態から

繰り返し使うことで、スエードカラーフレッシュの効果をより実感出来るんだと思う。

レッドウィング純正の防水スプレーは所有しているけど、栄養面とかレザーがどうなるとか

少し不安で実は一度も使ったことなくて、これを昔から知っていればなんてことを考えたりする。

 

エンジニアブーツやペコスだけでなく、定番の6インチ丈ブーツのシーズンも終盤という頃合いで

ガッツリメンテナンスするなら、気候の良い今月いっぱいがチャンスかなというところ。

今回のメンテナンスは妙に神々しく撮れた一枚で締めたいと思う。