REDWING COLUMN NO.22 レッドウィング ラフアウト 毛足の長さと色の違い
レッドウィングで使用されているサンドベージュのラフアウトレザー。
現在はホーソーン「アビレーン」ラフアウトと言う名称。
ラフアウトレザーは屋外での利用を目的に開発されたレザーで
ウェスタンブーツや1950年代末からはペコスなどに使用された。
表面が起毛している為、摩耗に強く傷が付きにくいが
この色は汚れが目立つので敬遠する方も多かったようだ。
ラフアウトレザーは、つるっとした銀面を裏側に使い
床面の起毛した面を表側に利用している。
一般的なレザーと違い、銀面にオイルを入れずに仕上げている為
通気性が良く、夏場や暑い時期に履くのにも適した素材と言われ
起毛した見た目が冬っぽい雰囲気があるので、意外に感じるかもしれない。
ラフアウトとスエードは混同してしまいがちだが
ラフアウトはその名の通り、毛足の長さがラフになっており
スエードはそのラフさを短く整えた物と言われている。
なので同じ部類ではあるが、厳密には別物とされている。
実際に店舗などに問い合わせても、スエードと言った方が
早く伝わる場合もあるし、人によって呼び方は分かれている。
個人的にはどちらで呼んでも構わないと思う。
REDWING ラフアウト 毛足の長さと色の違い編 目次
90年代から現行へ
現行のホーソーン「アビレーン」ラフアウトは色が薄く
毛足が短めに整えられ、個体差があまり見られないようになっている。
これは2000年代に入ったぐらいから、その傾向が強まって来たと言われ
製品のクオリティの均一さを意識した、近年の物作りの姿勢とも言える。
逆に90年代のラフアウトは毛足の長さにムラが多く
色味にも個体差があり、そのアメリカらしく、ある意味大雑把な
仕事っぷりを楽しんだり、それを良しとするファンが現在も多くいる。
ここではその90年代のラフアウトレザーの特徴を紹介して行く。
90年代比較
左から①8268PT83 91年製 ②1188 93年製 ③8268PT91 95年製。
④8168 97年製 ⑤8167 99年製。
色味は①②のように基本黄土色っぽいベージュだが
90年代半ばはやや赤みを帯び、黄色っぽいベージュになるのが特徴。
上の画像では③④の色が特に赤っぽいのが分かる。
そして⑤の90年代終わり頃からまた赤みが抑えられて行き
現行のように白っぽい物に移り変わって行く。
履き込む程に、より毛足が長く目立つようになって来るが
一般的には古い物ほど毛足が長いとされている。
ただ個体差がとても大きいので、色合いや毛足の長さは
年代特有の物と違った風合いの物もある。
トゥの比較
アッパー部分のアップ。
平均的なベージュカラーに毛足長めのタイプ。
現行の物より若干毛足が長くなっている。
毛足が短く整えられた所謂スエードに近い風合い。
色は赤みがあり、黄色っぽく見える90年代半ばの物。
現行の物と色合いが違うが、毛足の長さはこの感じに近い。
㊧8268PT83 91年製 ㊨8268PT91 95年製
㊧1188 93年製 ㊨8168 97年製
共に似たような風合いを並べているが、右側の方が色が濃くなっている。
オロラセットも95年辺りが最も赤みが強い。
その年代は味付け濃いめ的な時期で共通だったのかもしれない。
パーツごとの比較
こちらは毛足の長さが平均的な箇所の画像。
90年代のラフアウトは大体これぐらいのイメージ。
こちらは毛足が短いパターン。
近年のラフアウトはこの感じが近いかもしれない。
荒ぶるような毛足の長さ、長いところは1㎝を越えている。
この感じは90年代終わりぐらいまでに見られる。
さすがに復刻版でもここまでは長くない。
パーツごとの毛足の長さが統一されていない箇所。
ここまで揃ってない物は現行の物ではあまりない。
90年代アメリカのやっつけ仕事感があるので
マニアにはこのイレギュラー感が堪らないようだ。
引いた画の方が色味の違いが分かりやすいかもしれない。
自分は90年代オロラセットの時と同じように
ラフアウトも黄色っぽい時期からレッドウィングにハマったので
右側の感じに懐かしさや愛着が湧くような気がする。
この微妙な色の違いの差が分かるようになると
ぱっと見で、ある程度の年代判別が可能になって来る。