REDWING COLUMN NO.42 レッドウィング 90年代製造年月特定
レッドウィングのブーツの製造年月の特定方法について。
製造年月の記載は1960年代頃に始まり、ブーツ内外に刻印があったり
現行方式のタグになった2003年頃からはタグに記載されている。
古い年代では右足外側に刻印されていたが
1994年半ば頃から工場番号の記載が始まると同時に
一部のモデルを除き、二桁の製造年の刻印が入り始め
製造月の刻印が無くなったと言われている。
つまり製造月の刻印が無いのは1994年半ば~2002年いっぱいの期間。
しかし実際は、50年代などの極端に古い物を除いた基本的なモデルであれば
製造年月の特定は可能だと言うことは、ほとんど知られていない。
そのことについても、今現在で書かれている書籍やサイトも無い。
ここでは90年代頃の製造年月の判別の仕方を書いて行こうと思う。
90年代製造年月特定編目次
- 90年代半ば~2002年モデルの刻印
- 製造年月刻印有りの旧モデル
- 旧モデルの内外の刻印
- 旧モデルの内外の刻印の関連性
- 旧モデルの製造月一覧
- 90年代半ば以降の製造年月特定
- 例外パターン
- 60年代~80年代
- まとめ
90年代半ば~2002年モデルの刻印
先ずはおさらい的にベロの刻印について。
90年代半ば~2002年いっぱいはベロの表側に、このように刻印されている。
多少見づらい物もあるが、サイズや製造された工場番号の
P〇と言う刻印や二桁の製造年などが確認出来る。
基本的にサイズとワイズ、シリアルナンバーは必ず入るが
品番や二桁製造年、工場番号は元々刻印が無い場合もある。
材質によって見づらかったり、着用によって消えてしまうこともある。
だが□で囲ったところの文字とサイズの位置関係で工場は特定可能。
工場番号やその見分け方はこちら↓
今回のサンプルにあげた三つのブーツ。
これらは製造年が見当たらず、判別が出来ないとされている物。
8166四角犬タグ、8160刺繍羽タグ、8133刺繍羽タグ。
タグからある程度年代は絞ることは可能で、これだけを見て
90年代後期や2000年前後などとざっくり括ることも多い。
90年代犬タグ、羽タグについてはこちら↓
それぞれのベロを見るが、〇辺りに入る二桁の製造年の刻印が見当たらない。
それでも製造年月は特定可能なので、順を追って解説をして行く。
一応タグでの年代判別や工場番号は年月特定の補足になるので
ひっくるめて把握しておくと、より精度が増すと思う。
※個別の記事には既に製造年月が書いてあるが見なかった体で。
製造年月刻印有りの旧モデル
さてここからが本題になる。
今現在自分が所有している中で、製造年月が刻印されているのはこの5足。
94年半ば以前のモデル、もしくは2000年代前半よりも前の表レザーのペコス。
94年半ばまでに製造されたモデルはシャフト右足内側に入り
ペコスは両足のシャフトヒール側の履き口部分に製造年月が入る。
ペコスの刻印は2000年代の初め頃の物まで続く。
ただし例外として、ラフアウト素材のモデルはどちらも入らない。
旧モデルの内外の刻印
↑が5足全てのブーツ外側の刻印になる。
ペコスはサイズと幅を示すワイズの表記も入る。
気になるのは2月3月、6月7月の連続しているところ。
自分はここに製造年月特定のヒントがあると考えた。
次はこれらのブーツのベロや内側の表記を見て行く。
共に外側の刻印有りペコスの内部。
97年2月製866と97年3月製8169の連続した月の二つの刻印。
左には「G」の刻印があり、5桁のシリアルナンバーと連続
もしくはサイズ表記後に表記、これはP8工場で製造された物の特徴。
右は肉眼で何とか確認出来るレベルのとても見づらい刻印。
下に「H7」と品番の「8169」を黄色くなぞった画像を貼った。
P1工場製はP8工場の刻印の仕方と場所が異なる。
5足全てを見てみると
「M3」、「P」、「G」、「H7」、「L7」の刻印がある。
旧モデルの内外の刻印の関連性
月の順番に並べ替え、内外の刻印の関連性を探ってみると
「97年2月G」「97年3月H7」「97年6月L7」「93年7月M3」「95年9月P」
アルファベットだけを抽出するとGHLMPとなりABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ
このように2月はG、3月はH、6月はL、7月はMと
それぞれの月とアルファベットが隣り合って並んでいる。
つまりアルファベットは月であると言うことが分かった。
半分ぐらいのアルファベットは使われないようだが
1月はA~F、4月5月はIJK、8月はNかOのいずれかに絞ることが出来る。
そしてもう一方の数字の刻印は
「93年7月M3」「97年3月H7」「97年6月L7」のように
製造年の末尾とアルファベットに続く数字が共通している。
こちらの製造年の判別は比較的分かりやすいので
気付いていた方も割と多いと思う。
旧モデルの製造月一覧
本当に月はアルファベット順に並んでいるのか?
とても見づらいので画像の拡大推奨。
画像検索を駆使し、1月~12月まで全て確認することが出来た。
・1月=F
・2月=G
・3月=H
・4月=J
・5月=K
・6月=L
・7月=M
・8月=N
・9月=P
・10月=R
・11月=S
・12月=T
ワイズとの混同を避ける為か、A~Eは使わずFから始まるようだ。
名付けるとすれば、90年代式英数年月表記とでもするのだろうか?
数字の刻印の方も「94年1月=F4」「98年5月=8K」「97年10月=7R」
「97年11月=7S」「93年12月=T3」で年の末尾と共通している為
これらのアルファベットと数字の表記は製造年月であると確定。
こちらもP1とP2の場合はF4、T3のように先にアルファベットが来る。
8K、7Rのように先に数字が来る場合はP8で製造された物になる。
90年代半ば以降の製造年月特定
90年代半ば~2002年いっぱいに製造されたモデルの答え合わせ。
左上から時計回りに確認して行くと
N6=96年8月製、M8=98年7月製、9F=99年1月製。
これらは製造年の表記がダブっていたのが分かる。
左下F=1月、こちらは96の刻印があるので96年1月製。
P8製はアルファベットとセットの数字が入らない物も多い。
何度も書くがP〇と工場番号がベロに刻印されるのは
94年半ばから2002年なので、右下の9Fは1989年や2009年にはならない。
一応2010年代以降の復刻系の茶芯エンジニアやビームス別注モデルなども
この時期の表記を再現していて、P2工場製のP2刻印と
2018年6月製ならL18と入っているが、さすがに判別で迷うことは無い。
そして今回サンプルにあげた三足の製造年不明のブーツの年月特定。
上は9K=99年5月製、サイズとワイズの後に9KとあるのでP8製。
89年だと四角犬タグはまた少し表記が違うので、99年で確定。
左下はJ2=2002年4月製、一応下にP1らしき文字もあるが
96年~2002年に使用された刺繍羽タグなので、92年製にはならない。
右下はP2がダブっているややこしいパターン。
P2=2002年9月製、下のP2はP2工場製と言う別の意味になる。
同じく刺繍羽タグなのと、8133は95年からのモデルなので92年ではない。
99年以降から2002年の物は二桁の製造年が入っていない物が多い印象。
例外パターン
これらは例外のパターン。
L=6月、S=11月のはずだが、こちらはそれぞれ7月と12月になっている。
製造年月がずれている時は、製造開始と製造終了が
月をまたいでしまった時にこのようになると思われる。
製造開始のバラの状態の時に内側になる部分などの
後から手を加えづらい箇所に予め年月は入れておき
製造がほぼほぼ終わったタイミングで外部に二度目の年月を入れる。
ここで月をまたいでいれば違ってくると言うことのようだ。
このパターンは普通にあるので、どちらの表記を優先するかはその人次第。
そして右は94年1月だがT3の刻印。
93年の12月に製造を始め、完了が94年1月になったと言うこと。
年をまたぐパターンはあまりないと思うので、意外とレアかもしれない。
60年代~80年代
ブーツの製造年月の刻印は1960年代には始まっており
70年代や80年代などは月年が逆になったり、年の十の位が無かったりする。
今回まとめた90年代方式のアルファベットと一桁数字表記は
画像右のように、80年代の終わり頃に始まったようだ。
それでは80年代式と言った方が良いのかと言うと
2000年代初めを含み、90年代での使われ方の方が一般的と言うことで
ここでは90年代式英数年月表記をプッシュして行きたい。
※この表記は1986年頃から始まったようだ。
まとめ
長々と書いて来たが、記事の構想から画像の物色などを含めて
まとめるのに1年半ぐらい掛かったかもしれない。
製造年月が分かったからどうだ、と思う方も多いと思うが
いつどこで作られた物なのかが分かると、より愛着が増すと言うもの。
以前から当ブログではコレクションしているブーツそれぞれの
製造年月を記載していたので、当てずっぽうで書いてると
思われていたかもしれないが、独自に調べた上で特定していた訳だ。
この判別方法を使えば、90年代レッドウィングブーム時に生まれた
現在20代ぐらいの方は自分の生まれた年月のブーツが
見つかると思うと少し羨ましかったりする。
数多くコレクションしている方は仕様変更のピンポイントな
タイミングが分かったりするので、知識がさらに深まりそうだ。
内容の正確性については自信があるが、移行期や例外パターンなども
まだまだ考えられるので、この記事を見ている方々で
完全版みたいな物が出来れば嬉しい限りだ。