REDWING COLUMN NO.46 レッドウィングを見比べる 8165編
レッドウィング8165はブラッククロームを採用したプレーントゥのモデル。
元々8165の品番は同型の茶色のガラスレザーのモデルに当てられ
その旧8165が廃番となり、空き番だった品番とスタイルを継承しつつ
レザーを黒に変更し、1995年にビームス別注としてデビューした。
その後は日本正規品番としてラインナップされ、現在も続いているモデル。
8165は特に思い入れがあるモデルなので複数所有しているが
今回はその内の2足用意して見比べてみた。
今回比較用として用意した2足の8165。
ここでは敢えて左を8165Ⓐ、右を同じく8165Ⓑとして見て行く。
二つとも中古で購入したがⒷはあまり履かれていない状態から履き込んだ。
Ⓐの方が履き込まれていて、トゥ付近はだいぶ味が出ている。
革質は2足ともほとんど同じような感じだが
Ⓐの方がガビガビと言うか、若干硬化している感がある。
それに比べて購入してから十年以上自分で履きながら
ちゃんとメンテしていたⒷの方が状態が良い。
紐はⒶの方が別のメーカーの物に代えられている。
トゥのアップ、色合いは似ていてほんのりと茶色くなっている。
ウェットに見えるツヤはクリームで与えた物だが
90年代の物らしく、元々光沢感がある革質をしている。
ウェルトは縁まで黒く色付けされているが
Ⓐの方が少し削れているようで色が薄くなっている。
Ⓐの方を丸洗いしてから履いていないのもあるが
Ⓑの方が中底が沈み込んでいる為、全体が低くなっている。
立ち仕事の時にも履いていたのが大きいと思う。
休日履きと仕事履きとでは変化の仕方にだいぶ違いがある。
ヒール側は特に沈み込んでいるので高さがだいぶ違う。
一応両方ともアウトソールの張替えはしていない。
まだまだ踵以外はある程度残っている。
若干見えているベロの裏は茶色、これだけでテンションが上がる。
付けられているタグはⒶはプリント羽タグ、Ⓑは刺繍羽タグ。
プリント羽タグは例外を除けば96年途中までに付けられ
刺繍羽タグは96年途中から2002年いっぱいぐらいまで。
タグから見ればⒶの方が古い物になる。
羽タグについては↓
アウトソールは波状の溝があるレッドウィングのロゴ入りの
ⒶⒷ両方とも旧タイプのソールが付けられている。
これは1997年に仕様変更され、ロゴと形状が新しくなるが
2000年前後までは新旧のソールが混在して付けられている。
そちらについてはまた別の機会に書く予定。
ブラッククロームは直射日光下で見ると、そのポテンシャルが良く分かる。
黒の下地の茶色い部分が透けている、所謂「茶芯」と呼ばれている物。
これを再現しているのが、現在の「ブラック・クロンダイク」になる。
ブラッククロームについては↓
色合いは近いがⒷの方が少し茶色が濃く見える。
レザーのオイル含有量の違いもあると思われる。
茶芯は補色をしてはいけないような気がしてしまうのが
ある意味で難点と言うか、一つの思想に近い物がある。
ベロの刻印を見て行くが、両方とも「P1 96」の刻印があり
これは工場番号を表し、第一工場で96年に製造されたと言う意味になる。
Ⓑの方は見づらかったので反対側の画像を貼った。
そして左上に両方とも同じ「G6」の刻印がある。
このG6は「2月6年」を意味し、二つとも1996年2月に作られたと言うことになる。
自称プロ(笑)は「96」よりも、そちらの方の英数の刻印を重視している。
アルファベットと月の関係性については別記事に詳しく書いている。
90年代製造年月特定についてはこちら↓
P1などの工場番号については↓
シリアルナンバーはⒶ53457Ⓑ42458となっている。
単純に数字だけで見れば、Ⓑ刺繍羽タグⒶプリント羽タグの順だが
シリアルナンバーの管理の仕方は一つのモデルだけではなく
複数のモデルで共通してカウントしていると思われる。
なのでⒷはⒶの89000後なのか、それとも11000前なのかが断定出来ない。
レッドウィングに限った話ではないが、海外生産ではたまに
余ったタグやパーツなどを使い切る為に後から付けることもある。
なので残っていた旧タグを後からまた付け始めたのか
もしくは別のタグ付け職人の間で、仕様変更にずれが出たか。
奇しくも同じ年月に作られた物なので、断定が難しくなってしまっているが
個人的にはⒷの方が古いのではと考えている。
土踏まずをサポートするクッションパーツがⒷ には付いていない。
外れた、もしくは取り除いたとはあまり考えらないので
元々Ⓑには付いていなかったと思われる。
基本は同型で、あまりにも古過ぎなければ付いているので
付け忘れか、予め付ける予定がなかったのかもしれない。
インソールの色合いが全く違うのはⒶは丸洗いで新品っぽくなっている為。
Ⓑは履く頻度を抑えていたので、理想的な飴色になっている。
今回の2足はⒶがコレクションNo.24のプリント羽タグで
ⒷはNo.3の刺繍羽タグ前期の8165となる。
タグが違うだけで、革質も色合いも作られた時期もほぼ一緒。
同じ物を何個も持っててどうするのって、理解されないことも多い。
声を大にして全くの別物だとも言い切れないところもあるが
その辺りは分かる人にだけ分かってくれれば良いかなと思う。