REDWING COLUMN NO.38 レッドウィング メンテナンス ガラスレザー編
今回はレッドウィングのガラスレザーを使用したモデルのメンテナンス。
この光沢感のあるチョコレートブラウンのレザーは
正式には「コレクティド・グレインレザー」と言う名称で
現在は廃番の8160プレーントゥ、1998年秋冬にデビューしたモデル。
こちらは10年以上前に購入し、ほぼ未使用状態から履き込んだ物。
2000年のTBSドラマ「ビューティフルライフ」で
キムタクが着用していたことでも有名で根強い人気がある。
ガラスレザーについては↓
REDWING メンテナンス ガラスレザー編 目次
メンテナンス前
アップで見ると結構傷が多く、コーティングが剥がれている箇所もある。
長年の使用により、ひび割れも発生している状態。
推奨されるメンテナンスは一般的なワークブーツとは違い
ビジネスシューズなどと同様のメンテナンスが必要になる。
履き口の部分のひび割れは必ず起こってしまう。
そしてベロの退色もこのレザーは避けられない。
たまにフック裏の菊割りが鋭利になっている物があり
酷い場合は少ない着用回数でも破れたり穴が空いたりする。
ガラスレザーは樹脂で覆われているので、ミンクオイルなどの
ブーツ用オイルはほとんど浸透しないそうだ。
深い傷や完全に剥がれた部分には、もちろんオイルは入って行くし
乳化性の色付きクリームで補色は可能だが
ベロの部分やトゥ、ヒール周りのコーティングが
薄く剥がれた様な状態だと色があまり乗らない。
画像フォルダに残っていた8160の画像、両方とも2009年だった。
左はサイズ見直しの為に手放した8160四角犬タグ。
結構ボロくなっていたが、思いの外良い値段が付いた。
当時はミンクオイルを塗っておけばOKと思っていた頃。
トゥの傷には積極的に塗っていた記憶がある。
右は今回メンテする8160刺繍羽タグ、購入後しばらく履いた状態。
まだ全体的に綺麗な状態で光沢は鈍く感じる。
この辺りからブーツのメンテナンスをちゃんと勉強し出した。
メンテナンスアイテム
用意したのは水拭き用の雑巾、汚れ落としやクリーム塗布用の布。
仕上げ用のクロス、無印良品のシューキーパー。
モゥブレイのクリームエッセンシャルにステインリムーバー。
今回のメインアイテムのサフィールのレノベイティングカラークリーム。
埃落としの馬毛ブラシ、仕上げ用の豚毛ブラシ。
汚れ落とし
先ずはシューキーパーを入れ、馬毛ブラシで埃落とし。
細かいシワの箇所や普段隠れている羽の内側などは特に丁寧に。
より綺麗に補色して仕上げたい場合は、傷周りをサンドペーパーで削って
表面を整える必要があるが、このブーツではその必要は感じないので省略。
ステインリムーバーを布に付けて汚れ落とし。
表面に付着した古いクリームをしっかり取り除く。
ステッチ部分やウェルトなども一緒にやっておく。
ぬるま湯で温め硬く絞った雑巾で水拭きして完全にすっぴん状態に。
これはしてもしなくてもどちらでも良いと思う。
その後は表面が乾くまで、しばらく放置。
水気が無くなったら馬毛ブラシで表面を軽く整え、布の繊維などを落とす。
乾くのを待つ間に紐も硬く絞った雑巾で水拭き。
これもぬるま湯の方が良い感じ。
補色
今回用意したサフィールのレノベイティングカラー補修クリーム。
所謂レザーコンシーラーやレザーマニキュアなどの顔料系クリーム。
他のメーカーの物よりもカラー展開がとても豊富。
このレザーにはNo.05のダークブラウンがぴったりだったが
似た色がなければ、他の色と混ぜたり薄めたりして対応するようだ。
ステインリムーバーなどで落とせるので、ある程度塗り直しも可能。
レノベイティングカラークリームを布に取って気になる箇所に塗って行く。
顔料系のクリームなので、染めると言うよりもペンキを塗るイメージ。
割とすぐにトゥのコーティングの薄まったところは目立たなくなった。
臭いは嫌な物ではないが、窓を開けておいた方が無難。
細かい部分は綿棒などを使って慎重に塗って行く。
気になる箇所を整えたら、色の乗りが悪い部分を重ね塗り。
トゥなどの部分の薄く剥がれた箇所は少しコツが必要だった。
布を巻いた指で優しくとんとん、すぅーっと伸ばすと上手く行った。
クリームが渇くまで10分ほど放置し、乾いたら布で乾拭き。
乾拭きでは全く落ちなかったので、衣服への色移りの心配は無さそう。
仕上げ
仕上げにモゥブレイのクリームエッセンシャルを布で塗って行く。
液状のクリームなので、とても伸びが良く使いやすい。
表面の保革や艶出しの用途以外にレザーインソールにもこれを使っている。
塗り終わったら豚毛ブラシでブラッシング。
光沢を抑えたかったらデリケートクリームなどが良い。
仕上げ用のクロスで仕上げてピッカピカに。
ワークブーツにここまでの光沢は必要ないと思う方もいると思うが
このレザーの質感やセミドレスと呼ばれるブーツの楽しみ方の一つでもある。
before after
トゥやヒール周りの薄剥がれ部分はかなり目立たなくなった。
細かい部分はもう少し丁寧にやればさらに良くなりそうな感じはある。
ひび割れの部分はしっかり補色しても着用した瞬間に
ぱっくり行きそうなので、軽く乗せる程度にしておいた。
ベロや紐でえぐれている箇所も同様に済ませた。
まとめ
紐を通して完成。
若干過剰に感じるピカピカした光沢には充実感がある。
ここまで綺麗な状態の8160刺繍羽を見たのは初めてかもしれない。
履き込んでダメージが入った風合いも捨てがたいが
他のレザーのモデルとは一味違うテイストを味わうのも良い。
何より、このDIY感のあるメンテナンス自体がとても楽しい。