REDWING COLUMN NO.37 レッドウィング ガラスレザー
正式には「コレクティド・グレインレザー」と言う名称。
「修正された銀付き革」と言う意味で、表面が加工されたレザーになる。
コレクティド・グレインレザーは革を精製する際の
乾燥工程でガラスやホーローなどに張り付けることから
通称「ガラス張り革」や「ガラスレザー」と呼ばれている。
表面の光沢感がガラスの様であることから
その名が付いたと思われることもあるが、それは誤り。
軍や公務員等のサービスシューズなどで古くから使われて来た素材で
日本国内でも1950年代には採用されて行ったそうだ。
REDWING ガラスレザー編 目次
ガラスレザーモデルのラインナップと特徴
左側手前から8161、8160四角犬タグ、8160刺繍羽タグ、101ポストマン。
ガラスレザーは表面を樹脂でコーティングされているので
滑らかな手触りと光沢感に特徴のあるレザー。
丈夫で硬い質感に仕上がり、雨などにも強い為
革靴やバッグ等の耐久性が求められるアイテムに使われることが多い。
ただし他のレザーに比べて、少し蒸れやすいのが特徴でもある。
ポストマン
ポストマンのレザーもガラスレザーを採用している。
ビジネスシューズやドレスシューズで一般的に使われているので
ワークブーツよりもこれらのイメージが強いかもしれない。
他にはドクターマーチンやランドセルなどもガラスレザーが使われている。
そう考えると割と身近な素材だったと感じる。
現行のポストマンに使われている「ブラック・シャパラル」は
2013年から光沢感が抑えられたマットな質感のレザーに変更済。
↑の画像は「ブラック・エスカイヤ」の方が近い。
㊧101ポストマン ㊨8165刺繍羽タグ前期
右のブラッククロームの8165も光沢感が強い個体だが、やはり差がある。
表面をコーティングする為、原材料となる革の傷やムラなどに
あまり左右されることなく、安定して革を精製することが可能となり
ガラスレザーは比較的低コストな部類のレザーだそうだ。
ブラウンレザー
ポストマンの黒いガラスレザーよりも光沢が控えめなブラウンレザー。
このレザーは使い込む程に光沢が増して行く。
茶色時代の旧8165、8160、8161などで使われて来たが
アメリカの環境保護の観念から2005年頃に生産中止になっている。
このカラーはチョコレートブラウンと呼ばれることが多く
現行モデルで使用されているチョコレート・クロームは
このレザーの後継のモデルとなっている。
㊧ガラスレザーの8160 ㊨フルグレインレザーの8163
どちらも766と言う旧モデルの復刻と言う位置付けになっているが
ガラスレザーの方がワークテイストのヴィンテージ感がある。
右の方はどちらかと言えば、アウトドアっぽい印象を受ける。
両方ともツヤ出しのクリームで仕上げているが
アップで見るとレザーの質感が全く違うのが分かる。
経年変化
結構履き込んだ、お気に入りの8160の状態。
このレザーは光沢が強いが、その分硬質な質感でもあり
長年の使用で表面のコーティングはひび割れてしまう。
シューキーパーや詰め物などでシワを伸ばして対応するのが長持ちの秘訣。
履き口もひび割れしやすい箇所。
ベロはハトメの裏や紐の跡で削れてしまう。
樹脂コーティングの為、オイルがほとんど浸透しないそうで
表面をコーティングするクリーム系でのメンテナンスが適している。
単純な汚れ落としだけなら、とてもお手軽なレザーだが
↑の画像のような表面が少し剥げたような傷の補色は
色付きの乳化性クリームではあまり効果がなく
顔料系の物で補色する必要があり、若干手間が掛かってしまう。
詳細なメンテナンスについては「ガラスレザーメンテナンス編」に続く。