リーバイス501 66前期、「66」はロクロクと読む。
1966年製と思ってしまいがちだが、概ね70年代の物になる。
66は日本の古着店の方が、かつて付けた名称と言われ
その由来はフラッシャーと呼ばれる、販売時の紙の飾りに
Ⓒ1966と書かれおり、そこから付けられた名前になる。
単純に1966年にフラッシャーのデザインが行われた物が
そのまま何年も変更せず、付けられていたと言うだけのこと。
判別する資料が少なかった当時の間違った解釈とも言えるが
現在もその呼び方が定着し、そのまま66と呼ばれ続けている。
66は仕様の違いにより、三つに分けられていて
赤タブがBIG''E''の、71年~73年までを66BIG''E''
赤タブがsmall''e''に変更された、73年~77年を66前期
生地とステッチが変更になった、77年~80年頃を66後期と呼ぶ。
今回の物は73年~77年の間に製造された66前期。
パッチに「CARE INSTRUCTION INSIDE GARMENT」の文字。
「衣服内の取り扱い説明書」と言う意味。
これが入るのは1971年頃から80年代半ばまで。
ジーンズの内側に品質表示が入り、近代化をし出した頃になる。
この表示の入った70年代の物を66で括る様に考えている。
以前はタブがBIG''E''であれば、66に含めることはあまりなかったが
品質表示が入れば66でもあることから、66BIG''E''が一般化した。
品質表示がされるようになった初期はポケットにスタンプされ
画像の様に紙のラベルが付くのは74年頃からとのこと。
画像左は洗濯方法の記載と縮率「8%」の表記。
この縮率8%が66モデルの特徴の一つになり
後継モデルの赤耳では「10%」になるので判別が出来る。
右側は品番とその他の管理番号、そして下段に「8 5 2」
8=月、5=年、2=工場となり、75年8月製と特定が可能。
トップボタン裏の「2」はラベルの記載と共通の物。
66期の1970年代は、6番のエルパソ工場製が多い為
66はその6から取った名前と勘違いされることもあった。
この時代のリーバイス社は設備投資が盛んだったようで
生産工場が多く、他の番号もいくつか存在する。
残念ながら2は、どこの工場かは不明のようだ。
バックポケット裏のステッチはシングルステッチ。
シングルだと66前期、チェーンステッチだと66後期となる。
シングルからチェーンに変わるのは1977年の4月頃とのこと。
もしパッチや赤タブが欠損していても
スタンプorラベル、シングルorチェーン、8%or10%
それぞれを見ることで、モデルの特定が可能になる。
バックポケットのアーキュエイトステッチ。
ポリエステル糸で縫われているので丈夫。
Ⓡのレジスターマークのみの赤タブは、ブランクタブと呼ばれる物。
リーバイス社はポケットに赤いタブを付けること自体に特許を取得し
社名無しのⓇのみでも、リーバイスの商品と証明が可能になることから
一定数の割合でブランクタブが混ぜられるようになった。
少量だが50年代の物にも確認され、新しくなるほど増える傾向にあり
70年代や80年代は、10%ほど混ぜられていたとのこと。
付けられたボタンとリベット。
それぞれの年代でマイナーチェンジがされるが
この時期はフライボタンの中央がフラットなタイプを使用。
もちろん赤耳仕様。
裾はオリジナルのチェーンステッチ。
うねりが出てギザギザとしたアタリが出るのが特徴。
耳の表側の迫力のあるアタリ。
耳がちゃんと開いていると、色落ちした時にこの様になる。
裾から上の方までしっかり開いて、アタリが出ている物はポイントが高い。
タテ筋がはっきりと見える、所謂「タテ落ち」
この雰囲気は古い時代から続き、デニムが変わる前までに見られる特徴。
1978年頃にデニムの染料の合成インディゴに薬品が多く加わるようになり
生地が見直され風合いが大きく変わってしまう。
その為、501では66後期の初期までの物が良い色になるとされる。
㊧赤耳 1982年製 ㊨66前期 1975年製
製造は7年の差だが、雰囲気がかなり違うのが分かる。
購入前から履かれていた物なので確証は無いが
おそらく履き込みと洗濯頻度に大差はないと思う。
デニム変更前は色が落ちる所は落ち、残るところは残り
色のコントラストがはっきりとし、メリハリのある色合いになる。
501はデニムの変更前までをヴィンテージとし
変更後はオールドと扱う方は、この点を重視していることから。
やはりデニムのポテンシャルが分かるのは、色が落ちてからだと思う。
マイルドな色落ちの赤耳も好きだし、シャープな色落ちの66も良い。
このライトブルーデニムの爽やかな雰囲気は
暑くなったこのぐらいの時期になると履きたくなる。