REDWING COLUMN NO.72 レッドウィング8167 ラフアウトメンテナンス編
8167は長い間定番商品としてラインナップされていたが
2019年に追加生産がされず、惜しまれつつも廃番になってしまったモデル。
今回はこのラフアウトレザーもしくはスエードのメンテナンスをしてみた。
※スエードやラフアウトはレザーの裏側を表に使う少し特殊な物で
普通のレザーとは推奨されるメンテ方法が変わって来る。
このサンドベージュ色のラフアウトレザーはホーソーン・アビレーンという名称で
ふわっと毛羽立った表側に油分が少ないので、通気性も良く夏場でも蒸れにくい。
本来はアウトドア向け素材で傷には強いが、この色はとにかく汚れやすいのが特徴。
自分はポリシーとして、濃紺デニムのインディゴの色移りを避けていたのと
雨の日はなるべく履かないように、結構履くシーンを選んでいた。
それでも画像の中央の様に、履きシワの凸部分には汚れがあり
正直言って全く気にならないけど、折角なので綺麗にしてみようかなと思う。
羽根の縁の部分などもパンツの裾で擦れた汚れは見られる。
引きで撮ると妙に綺麗に写ってしまうが、全体的にこんな感じの薄汚れた感じはある。
履き口はこのブーツで一番汚れている部分で、靴下の色が移っている様子。
奥側は8173という別モデルで、異素材のレザーでパイピングされていて
汚れが目立たない上に頑丈な作りになっている。
今回用意したのはこれらのアイテムたち。
レッドウィング純正馬毛ブラシ、同じく純正のラフアウト用のクリーナーバー。
コロンブスの真鍮ブラシ、モゥブレイのクリームエッセンシャルと塗布用の布切れ。
モゥブレイのスエードカラーフレッシュ、そして掃除機は用意しておいた方が良い。
先ずは紐を外して基本の埃落としのブラッシング。
赤いレッドウィングのロゴのブラシは2000年代後半からしばらく採用していた物で
毛質が若干硬めなのでラフアウト専用として使っている。
ベロにはハトメ裏の菊割り部分との接触面に緑青が移っているが
無理に取り除こうとしても広がってしまいそうなので、布で拭く程度で済ませ
紐も特に汚れている感じはなかったので軽くはたいておいた。
そして今回のメインアイテムのラフアウト用のクリーナーバーで
汚れが気になる部分をゴシゴシと擦って行く。
クリーナーバーは消しゴムみたいな物なので大量に削りカスが出る。
削りカスが容赦なくブーツ内にも入り込むので、ブラッシング後は掃除機で吸い出す。
※クリーナーバーは単純に擦れたような軽めの汚れには有効だが
オイル染みやインディゴ汚れには、あまり効果が期待出来ないので注意。
レザーインソールにはクリームエッセンシャルを布に取って塗って行く。
油分を補給してひび割れを防ぐのと、履き心地の向上が目的で
特に何年も履いていなかったりした場合はかなり変わって来る。
自分は塗り過ぎても影響が少ないので、これを選んでいるが他の物でも代用可能。
レザー表面にはモゥブレイのスエードカラーフレッシュを吹き掛ける。
ラフアウトやスエードなどの起毛素材の栄養補給と防水効果がある物。
ラノリンで油分の補給と柔軟性を高め、フッ素でコーティングして防水させ
汚れにも強くなるというメリットもあり、重ね掛けをするほど効果がある。
使い方は缶を振らずに50㎝以上離れたところから、素早く薄く吹き掛け数回重ねる。
左側の様に直後は濡れた感じになるけど、乾くとほぼ元に戻るので問題なし。
30分から1時間ほど風通しの良い場所で乾くまではしばらく放置。
乾くと無臭だが使用時はかなり臭うので、換気を充分にするか屋外で行うと良い。
※スエードカラーフレッシュはスエードジャケットの丸洗いでも使用した。
仕上げにコロンブスの真鍮ブラシで濡れて寝てしまった毛を起こして行く。
レッドウィングの純正のラフアウトケアキットにも硬い毛のブラシが付いているが
持ち手付きの方が使い勝手が良いので、ラフアウト好きにはこのタイプがおすすめ。
ベロやウェルトなどには真鍮ブラシでは毛が硬いので馬毛ブラシ使う。
左が真鍮ブラシで毛を起こした方で、右はスプレーを掛けてそのままの状態。
本当はもっとべちゃべちゃに濡れた後だと差が分かりやすいけど
左の方がふわっと毛足が立っていて、これがおそらく本来のラフアウトレザーの表情。
濡れた後の毛が寝ていてカチッと表情も全然嫌いじゃないけど
ちょっとした加減で色々な表情が楽しめるのもラフアウトの魅力の一つ。
右がビフォーで左がアフター、そこまで入念にしたつもりはないが
長年の使用で蓄積した汚れでも軽い物なら、この通り落とすことが出来た。
同じく右がビフォーで左がアフター、数十秒擦ったぐらいだけど
こんな感じで黒ずみはあまり目立たなくなっている。
最後は上がビフォーで下がアフター。
履き口は少し伸びて型崩れしそうだったので、ガッツリとは出来なかったけど
こう見比べるとクリーナーバーだけでも結構汚れが落ちているのが分かる。
若干リスクはあるが、細かめの紙やすりで削るなんて手もあるようだ。
徹底的に綺麗にしたければ、やはりどぶ漬けしての丸洗いかなと思う。
ラフアウトレザーは何も手を入れずに履く方が多い傾向にあって
古い年代の物でも汚れの質とメンテナンスの仕方次第では
まるで新品のように生まれ変わらせることも可能。
人によっては味わいが無くなるというように捉えらえるかもしれないけど
中古でも自分なりのエイジングを楽しむ余地がたくさんあるレザーだと思う。