REDWING COLUMN NO.19 レッドウィング P1・P2・P8
「P1・P2・P8」とは何か?
レッドウィングのブーツは日本国内で正規に展開されている物は
現在もアメリカのレッドウィング自社工場での生産が続いている。
近年は一つの工場がメインとなって生産されているが
1990年代半ばから2000年代後半までは
アメリカの中の複数の工場で生産されていた。
それぞれのブーツに工場の意味のPLANTの頭文字のPと
数字が組み合わさって表記され、それが「P1・P2・P8」と言うことになり
どの工場で生産された物か分かるようになっていると言う訳だ。
工場番号の記載は1994年頃から始まったと思われ
ベロの表側やブーツ内に刻印されている。
さらに古い年代の物は、ブーツ外側シャフトに製造年月の刻印がされ
その刻印が終わるのが、同じく1994年途中までになるので
そこが切り替わりのタイミングになるようだ。
P1・P2・P8編 目次
P1=PLANT1=第1工場
P1は米国ミネソタ州レッドウィングシティに建設された第1工場。
小さな町ではあるがメインストリートに位置している。
P1は1905年から建設が始まり、本格的な稼働は1908年とされている。
現在は生産工場としての機能はしておらず
レッドウィング社のアーカイブとしての役割をしているそうだ。
P1でのブーツの生産が終了したのは2000年代初め頃とのこと。
P1のすぐ近くにあるレッドウィングのショップには
2005年のレッドウィング社100周年記念に作られた
馬鹿デカい877があるが、この877のサイズはUS638と1/2インチだそうだ。
一度は見に行ってみたいものだ。
㊤8175ベロの部分と㊦8268PT91エンジニアブーツ内部の刻印「P1」
P1で製造される物はスタンダードなモデルが多く
製法が昔から一貫しているようなタイプに見られ
90年代の日本正規のエンジニアブーツはP1のみで生産されている。
P2=PLANT2=第2工場
P2の第2工場は現在レッドウィング社が生産するメインの工場。
P1から5㎞ほどの郊外に建てられ1964年から稼働。
P2はレッドウィング社で最も近代的な設備が充実した工場と言われ
日本では目にしないようなハイテクなモデルを中心に
スーパーソールなどの特殊な製法のモデルの生産はここで行われていた。
近年ではヘリテージワークラインやベーシックなモデルなどの
日本で一般的にレッドウィングをイメージするような物は
2008年頃を境に、このP2で生産された物になるそうだ。
レッドウィング社は自社でタンナーを所有していることでも有名。
タンナーとは革の鞣し工程を行うこと。
つまり自社で原材料を調達出来るので
流通やコスト面など全てにおいてコントロールすることが可能。
ベロの部分の刻印「P2」
こちらは8133スーパーソールのベロ画像。
たまたまP2の上に同じP2が入るが、上のP2は別の意味になる。
2003年頃から採用されたタイプのタグになると「0」が加わり
㊧「P02」と表記されるが、㊨の9011の方は無い。
これは既に書いたが、現在は日本に流通しているような
ベーシックなモデルは、P1での生産が終了し
P2がメインの工場として生産されるようになった為。
P2製の物は2006年頃からタグに工場番号が入らなくなったとのこと。
㊦近年リリースされたビームス別注モデルや茶芯エンジニアなどの
過去のモデルを復刻したレトロなモデルは
90年代の再現をする為、同じように刻印を入れている。
P8=PLANT8=第8工場
P8は確実な情報ではないが、米国ケンタッキー州にある(あった?)と言われ
1990年代半ばから2000年代後半頃の物に見られ
日本モデルと似た仕様の欧州モデルもP8で生産されている。
日本での流通量が多い時期と重なるところを見ると
増産に対応する為の工場と言えるかもしれない。
あまり有名ではないがレッドウィング社は他社の製品を
代行して生産するOEM業務も行っているので
その為の工場だった可能性もあるが詳細は不明。
875半円犬タグのベロの部分の刻印「P8」
6インチ、8インチ丈のモックトゥ、プレーントゥ、ペコスなど
P1同様にベーシックな型に見られる。
現行タイプのタグになった2003年からは「P08」と入り
P8の日本正規品は2008年頃を最後に生産終了していると思われる。
工場によって作りに大きな違いがある訳ではないみたいだが
P8は仕様変更時に旧タグを付けるなどの
若干ルーズなところが見られるようだ。
etc
画像は101ポストマンの物。
黄色い円で囲っているのがおそらく工場番号の「04」。
ポストマンなど全米で幅広く使われていた物は01~04を見掛ける。
つまり第1から第4工場で生産されていたと思われるが詳細は不明。
P5~7に関しても残念ながら不明だが、修理専門の工場か
P8のように増産に対応した物、他の製品を作っていた可能性もある。
画像左側の8173、8160はP1、中央の9011、8133はP2。
右側の866ペコス、875犬刻印はP8になっている。
どの工場がレアでプレミアが付いているとかは無いが
伝統的なP1が若干人気があるように思える。
P1が生産終了しても大して価格の変動はなかったようだが
マニアは何かのきっかけで、突然価値を見出すことがあり
将来的に値上がりする可能性が考えられなくもない。
以前はこう言った細かいことを、全く気にもせず履いていたが
自分のブーツがどこで生産されたかを知ると
知識や愛着が深まり、また違った楽しみ方も出来るかもしれない。