REDWING COLLECTION NO.42
RW-877 半円犬タグ P1第1工場 96年3月製
レッドウィング877は1952年にハンティング用ブーツとしてデビューし
「アイリッシュセッター」の名を世に広めることとなったモデル。
ウェッジソールと呼ばれるヒールが独立していないタイプの物を採用し
森の中での静音性と歩行性を確保した画期的なブーツとして人気を集め
その優れた性能から労働者の作業現場でも重宝されていったそうだ。
877に波型の溝が入ったトラクショントレッドソールは1958年頃から使われ
細かい修正などは入りつつも、現在も大まかな作りは引き継がれている。
この真っ赤な877はオロラセットの色味を大きく変える直前の最終モデルで
現行の877はオレンジ色っぽい茶色の伝統的なレザーに戻り
また赤茶877は、2018年に復刻された8877の前身のモデルとなっている。
8インチ丈10ホールの通称「ロングセッター」。
日本の家の中では靴を脱ぐ習慣がある為、この長さの丈のブーツは需要が少ないが
かつての本国アメリカではとてもスタンダードな物で
デビューから瞬く間にレッドウィング社の看板商品となったそうだ。
日本国内ではやはり右の6インチ丈875が定番モデルとして根強いが
左の877から派生したモデルとして、後の1954年頃にリリースされた。
なので877は875のロング版というよりも、875は877のショート版と言える。
877の特徴の一つでもある、このサイドのストレートな切り替えは
水の侵入を防ぐ為に考えられたデザインとなっている。
877のベースとなっている1940年代の951というモデルも同じ仕様で
ハンティングブーツの伝統的な作り方だったそうだ。
何と言ってもこのバックスタイルの良さが877の最大の魅力。
プルストラップと一体化したバックステーに三角形のステッチ。
レッドウィングの他のモデルはあまり見られないバックのステッチは
どうせならパンツを思い切りロールアップしてアピールしたい。
ハトメは茶色く着色された真鍮製の物を使用している。
当然ながら革質と合わせて緑青はとても発生しやすい。
877の現行モデルは銀色のニッケルのハトメに変更されている。
半円犬タグの最終デザインの物は1994年から1998年まで使用された。
877はレザーの色味を大きく変えると同時に犬刻印に切り替わる為
96年製が半円犬タグの最後に付く物となる。
レッドウィングマニアには定番として根付いて欲しい製造年月表記。
下段にP1第1工場と96の刻印もあるが、左上の「H6」が3月96年の意味を表す。
86年製にも同じ表記があるが、タグや色味から判別に迷うことはない。
詳しいことについては↓の記事で解説している。
このド派手な赤みMAX期のオロラセットは1995年96年辺りの特徴。
90年代半ばにレッドウィングにハマった方はこの色に馴染みがあるはず。
本来のオロラセットは猟犬のアイリッシュセッターの名の通り
やや赤みを帯びてはいるが、もっとオレンジ色っぽい茶色をしていた。
美しいモカシンのステッチワークにレザー表面の光沢感。
メンテはレッドウィング純正のオールナチュラルレザーコンディショナーを使用。
蜜ろう入りなので仕上げのブラッシングで程良い光沢感が生まれる。
ウェルトのコバ部分もクリームでしっかりと潤わせてみた。
これは状態の良い物をたまたま見付けて買い直した物だが
高校生の時に手に入れた2足目のレッドウィングが877だった。
どうしても赤茶のオロラセットのブーツが欲しくて半ば強引に購入したけど
長い丈のブーツは着脱が面倒で、結局あまり履かずに手放してしまった。
今は昔ほど抵抗はなくなっているけど、正直実用性とかは考えずに
コレクションとして鑑賞目的がメインとなっている。
当時の記憶や体験が蘇って来るという意味でも大事にしたい一足。