赤い羽BLOG

REDWINGとMr.Childrenを愛する男の趣味ブログ

REDWING COLUMN NO.88 真っ赤なオロラセット

REDWING COLUMN NO.88 真っ赤なオロラセット

オロラセット(オロ・ラセット)とは、赤みがかった茶色のレザーを表す造語で

アイリッシュセッターなどに使われ、レッドウィングの代名詞の一つとなっている。

採用初期の1950年代~1980年代頃までは多少の色のばらつきはあったものの

オロラセットはあくまで赤みのある茶色であって、赤いレザーではなかった。

そして1990年代に入った頃から徐々に、茶色→赤色へと色味が移り変わるようになり

真っ赤なオロラセットは1995年前後の短い期間に使われた特殊な色合いとなっている。

 

所有しているブーツでは年代や過渡期の色合いを忠実に再現することは不可能だけど

大体このようにオロラセットの色味は、左から右に色味が徐々に変化して行く。

初期はオレンジっぽい茶色で、右はほぼ赤い色をしているというのが分かると思う。

そして赤みの強いオロラセットは、本来のオロラセットとはかけ離れているとして

1996年に色味を見直すことになり、赤いオロラセットは終了することになる。

皮肉にも日本ではその赤い色が大人気で、見直した色味は不人気となってしまう。

 

そして日本で人気だった赤いオロラセットは1996年にオロラセット・ポーテージと

名称を変えて、日本国内で展開するモデルを中心に引き継がれることになった。

一番左がオロラセットで、それ以降右の四つはオロラセット・ポーテージと並んでいて

左から二番目は赤、中央とその右隣りは赤茶、一番右は赤黒い色という感じで

引き継がれたと言っても、この色味もまた時期によっては個体差がとても大きかった。

 

左が赤みMAXの1996年製875で、オイルがあまり沁み込まないような質感をしていて

オロラセットと単体で呼んでいた最後のオロラセットとも言えるレザー。

右は赤みが控えめなオロラセット・ポーテージ1999年製の8875。

どちらかと言えば右の方が自然な色味で、比較すると左は赤過ぎるとも取れるけど

赤みの強い時代に影響を受けた世代としては、やっぱり左だなと思ってしまう。

 

現在所有している赤みMAXのオロラセットはこの四つのモデル。

もちろんオイルの潤い加減や使用頻度などを含めた個体差という部分もあるけど

一番左の8271エンジニアブーツはアウトソールが黒い為、逆足と擦れて黒ずみが出て

やや濃いめというか、暗めな色味という印象を受けるかもしれない。

 

こちらは別角度で撮ってみたけど、自然光の下で撮影した方が色味が綺麗に見える。

いかにもアメリカのブランドらしく、ポップで活発な印象のある赤いオロラセットは

見ているだけで楽しくなるような、自分の中ではカワイイ奴等という存在。

 

左はレッドウィング90周年記念モデルの1995年8月製の8271エンジニアブーツ。

右は1995年9月製の866ペコスブーツという、両方とも1995年に作られた個体で

仕上げのクリームなどもあるけど、この時代のレザーは光沢感が出やすいのも特徴。

以下はおまけにそれぞれのモデルで美味しく感じている部分をピックアップ。

 

甲部分に鼻筋のように薄っすら見えるラインは、クリッピング(クリンピング)という

古い時代のエンジニアやサイドゴアブーツなどの紐無しの靴に見られた加工の跡。

この8271の見どころの一つでもあるクリッピングは、現行モデルでは見られなくなり

オロラセットが赤かった頃までと、時期的にも重なる仕様でもあった。

 

ペコスブーツは長い丈と、何と言ってもこのサイドのプルストラップが特徴。

ペコスはレッドウィングの登録商標となっている名称で一応他社製品では使えない。

ちなみに色の見直しで866は8866へと引き継がれたが、現在は生産していないらしく

この記事を投稿した時点では、日本国内のペコスは一つもラインナップされていない。

 

こちらは1996年1月製の875と、同じく1996年3月製の877。

左の875が真っ赤で、右の877の方はやや朱色っぽいような鮮やかな色味をしている。

赤いオロラセットは1996年の前半頃までとなるので、この877は終了直前の個体。

 

875は履き口からヒールにかけてのこの曲線が個人的に大好きなところ。

市革(いちかわ)と呼ばれるバックステー部分によって踵を包み込む曲線が生まれる。

バックステーが無いとザクザクとした感じになるけど、それはそれで良かったりする。

 

877はやはり他にはないパーツが盛り沢山のバックスタイルが見どころ。

丈が長くてただでさえスマートなのに、バックステーがプルストラップ仕様に加えて

ヒールの三角形のステッチ使いなどは、他のモデルでは見られないディテール。

この877は昔所有していた思い出から買い直した観賞用ブーツの一つ。

 

昔はオロラセット=真っ赤な色のレザーと思い込んでいたようなところがあって

文字通り変革という、特殊な時期に流行したんだなと考えさせられたりする。

歳を重ねるごとに赤い色のファッションアイテムは取り入れづらくなっているけど

このド派手で真っ赤なオロラセットは、現在好んでいるスタイルとは違っていても

これはこれでOKみたいな、他アイテムとは違う扱いのような感覚がある。