デニムのパッカリング
ジーンズやGジャンなどのデニム生地に出来るパッカリングとは?
パッカリングはデニムやワークアイテムなどの特徴的な風合いで
生地の縮みや縫われた糸によって出来る凹凸のこと。
洗濯や着用を繰り返すことにより、この凹凸がくっきりとして行き
生地がたくさん重なる縫い合わせの部分はとても出やすい。
このパッカリングはデニム好きが気になるポイントの一つで
現在は生地の縮率を計算し、意図的に加工して入れている商品も多い。
パッカリング部分をアップで見てみると、ボコボコと山が出来ていて
へこんだ凹部分は青く色が残り、凸部分は色が落ちることによって
激しいコントラストが生まれ、迫力のある表情が出ると言う仕組み。
少し引いて見るとポケット部分などはたくさんのパッカリングがある。
隣接する部分もひきつれを起こし模様の様に色落ちして行く。
生地の縦落ちも加わって、この大小の凹凸がコントラストを作り
ヴィンテージジーンズ特有の味わい深い表情をしている。
パッカリングはこの様に色落ちが進んでいないとあまり目立たない。
ただし他の表面部分よりも露出している為、かなり早く色が落ちる。
もちろんデニム以外の薄手のシャツなどもパッカリングは発生するが
デニム生地と違って、色落ちによる激しいコントラストが生まれにくいので
画像は1950年と60年代の物だけど、パッカリングはそこまで目立たない。
と言う訳でデニム生地のパッカリング部分を見て行く。
フロントポケットとウォッチポケットの縁なども出るところ。
現在はウォッチポケットと言うよりもコインポケットと言うのが一般的。
ポケット上のウエストバンド部分にもパッカリングは出来る。
こちらは1950年代の501XX、60年以上前の貫禄のある生地のパッカリング。
古いデニムは色が抜けにくい為、凹凸がよりくっきりとする。
裾部分のパッカリングもジーンズ好きにはかなり重要なポイント。
チェーンステッチで裾上げを行うと激しく凹凸が出来る。
その上の耳のアタリにも目が行ってしまい、これを見ながらお酒が飲める。
パッカリングは箇所によっては、色落ちやアタリと同じような意味で使われる言葉。
お尻の合わせ部分はあまり注目されることがないが
左の所謂、復刻ジーンズやレプリカデニムと呼ばれる濃い状態の物を
一から育てるようなジーンズは洗濯の頻度が少ない為
パッカリングがあまり出ないことが多い。
座った状態が多いと凸部分が潰れてしまうと言うこともある。
リーバイスの1950年代を復刻したジーンズのバックポケット。
ジーンズの良い色落ちと言うのは、人によって分かれるところだが
一般的には激しいコントラストを好む傾向にある。
色抜けを抑えたり、シワの入る位置や擦れる箇所が一定になるように
洗濯の頻度を抑えて履くスタイルは生地の縮みやパッカリングが甘めになる。
一つ上の画像と同様に座る時間が多いと凸部分が潰れてフラットになりがち。
反対にヴィンテージのリーバイスは良く洗濯されて履き込まれた物が多い。
アメリカは早い時代から乾燥機を使う文化が根付いていた為
生地が激しく縮んでパッカリングが良く出ている。
ただし全体の色抜けも激しくなるので、濃いめに色を残す履き方とは対照的。
リーバイスのGジャン70505のフロントのV字の切り替え部分。
この特徴的な切り替え部分もたくさんのパッカリングが入る。
やや引いた画像で見るとボコボコと綺麗に入っている。
ここまで来ると最早デザインの域に達していると言う感じ。
バックのアームホール部分も縫い合わせが多いのでパッカリングだらけ。
二本のステッチで縫われている箇所はチェーンステッチの場合がほとんど。
激しく生地が波打ちステッチが消失しがちになる。
ジーンズやデニムのパッカリングは自分には馴染み深い物と言う感じで
これが良いと言うのをある意味で刷り込まれて来たところがある。
この細かいディテールを好む感覚は他に例えると何になるのだろうか?
簡単に言えば、良い感じに育っているなと言う風になるけど
牛肉やマグロのサシを見てテンションが上がる感じに近い様な気もする。
あまり的確な表現が見付からないが、デニムには不思議な魅力がたくさんある。