REDWING COLUMN NO.4 レッドウィング メンテナンス オロラセット丸洗い編
丸洗いとは水や洗剤を使い、その物全体を洗うこと。
ブーツなどの革製品の水洗いは永らくタブーとされていたが
近年は一般的なメンテナンス方法として確立されつつある。
丸洗い自体は以前にも経験はあるが、いい加減な所も多かったので
しっかりと手順を調べた上で、ブーツの丸洗いを実践した時の記録。
今回は以前アップしたレッドウィング875半円犬タグを使用。
メンテが行き届いてとても良い感じに見えるが…
オロラセットについては↓
REDWING メンテナンス オロラセット丸洗い編 目次
875丸洗い前
1日目、メンテをする前の元の状態がこちら。
長年放置されてしまい、かわいそうな875。
油分がほとんどなく色が薄くなっているのが分かる。
先ずは隅々までしっかりとブラッシング。
※この時はフラッシュ撮影をした為、色合いが悪くなっています。
どぶ漬け
その辺にあった洗濯用洗剤を入れ、ぬるま湯で浸す。
ウェルトとアウトソールの汚れをナイロンブラシで落とす。
ソールに関してはあまり綺麗にしようとは思わないので、ある程度で終了。
※本来であれば中性洗剤が好ましいとのこと。
新しいお湯に変えて漬け込む、これは「どぶ漬け」と呼ばれている。
お湯の温度が高過ぎると、革にダメージがあるのと
接着剤が溶けてソールなどの剥がれに繋がるので注意。
38℃ぐらいが冬場の作業でも優しい感じ。
酸素系漂白剤に漬ける方法もあるようだが、失敗も見掛けたので
個人的には手間を掛けてじっくり行いたいと思う。
2日目どぶ漬け半日経過、紅茶のように茶色くなっている。
ブーツ内外の汚れや、革やコルクの色など様々。
徹底的に洗う場合は、半日~一日しっかりと漬け込むのがポイントとのこと。
どぶ漬けは水が全体に浸透して、汚れが浮き出て落としやすくなる。
それと同時に乾いた時の染みを抑える効果がある。
洗浄
基本的にレクソルのクリーナーを使うのだが
この時はひもの跡も徹底的に落としたかったので
レッドウィング純正クリーナーも使用、こちらは現在生産していない物。
ブラシヘッドが強烈で革を痛める為か評判は宜しくなかったようだ。
自分はこれにレクソルを入れて、現在も部分汚れ落とし用として使用中。
ハトメ周りのびっしりと発生した緑青もしっかり取り除く。
こちらも現在は廃版のレクソルクリーナーの小容量ポリタンク型容器。
レクソルクリーナーは中性なので、革へのダメージが少なく
多少の濯ぎ残しがあっても問題なし。
食器洗い用スポンジを使いクリーナーでブーツ内外を洗う。
原液を贅沢にスポンジに付けて洗うのが良い感じだ。
※最近は外を豚毛ブラシ、内部はナイロンブラシを使用。
陰干しでの乾燥
良く濯ぎタオルドライ、形を整えタオルを詰めて室内で陰干し。
直射日光や暖房を使っての乾燥はひび割れの危険性が高まる。
翌日の3日目、乾燥丸一日経過ブーツ内部に詰める物を新聞紙に変更。
つま先の方は乾きやすくなる様に、半日ほどで新しい物に交換。
新聞紙は若干の色移りがあるので、気になる方はタオルがおすすめ。
ブーツ内部に詰めるのは二、三日で充分。
半渇きのオイルアップ
半渇きの状態でのオイルアップが推奨されているが
水分が抜けて渇く時が革へのダメージになるとのことで
この時に油分の補給で潤いをしっかりと保つことが出来る。
今回は予想以上に乾きが早く、たくさん油分を欲しがっているようなので
レッドウィング純正コンディショナーを投入、ウェルトや履き口なども塗布。
結構しっかりと塗り込んだのだが…
4日目オイル入れの翌日、乾燥丸二日経過。
やはり油分が全然足りていないようで表面は渇いている。
前回よりも多めにレザーコンディショナーを追加で投入。
5日目オイル追加翌日、赤みが出ているのでようやく潤った様子。
余ったオイルの拭き取りを兼ね、ブラッシングでオイルを馴染ませる。
ブーツ内の詰め物を取り除き、さらに陰干し継続。
インソールも完全に乾く前に、モゥブレイのデリケートクリームで保湿。
ブーツ内部にはミンクオイル等の粘度が高い物より
さらっとした物が個人的にはおすすめ。
この後は仕上げまで放置し、陰干し継続。
どぶ漬けをした場合はインソール下のコルク層まで浸透しているので
季節にもよるが、最低でも一週間は乾燥期間を設けたい。
仕上げ
飛んで14日目、乾燥に入って丸12日経過。
モゥブレイのレッドブラウンのクリームでベロなどの色抜けの多い箇所を補色。
仕上げに全体をしっかりブラッシング。
光沢が出ているが、べとつきはなくしっとりと潤っている。
Before→After
↑こちらがビフォーアフター。
革が完全に蘇り、着用一年目みたいな状態に戻った。
ひもの跡が目立たなくなり、ステッチの白さも際立っている。
全体的にメリハリが出て、形がシャキっとしているのが分かる。
ひもを通して完成。
ひもも同時に洗ったが、新品に変えるのもアリ。
※ここまでフラッシュ撮影。
まとめ
↑こちらが875の最近の状態、実際の色目はこの画像が近い。
自分は丸洗いを大体二週間掛けてじっくりと行っている。
日頃のメンテは非常に大切だが、何年も怠ったものをリカバリー出来て
劇的に状態が良くなることがあるのが丸洗いの魅力。
もちろんリスクもあるので実践される場合は
良く調べた上で自己責任でお願いします。
他の素材とまとめた丸洗い総合版は↓