今回は横浜では唯一の渓谷として知られている、陣ケ下渓谷公園に行ってみた。
神奈川県民の多くの方が利用したと思われる環状2号線の足元という場所に
ひっそりと自然が広がっていて、陣ケ下渓谷公園は横浜の秘境とも言われている。
陣ケ下(じんがした)の名前は、鎌倉時代の武将が狩の為に陣を張ったことに
由来するようで、この市沢川は横浜市内を広く流れる帷子川の支流の一つ。
自分は相鉄線上星川駅から徒歩15分の下流口からのルートを選択したけど
公園への入り口は他にもあり、鶴ヶ峰駅と西谷駅からの徒歩で行くルートや
バスで行くことも可能で、有料にはなるが一応駐車場も備えられている。
以前からここの存在は知っていたけど、運動不足解消がてら散策してみることにした。
秘境と言われるだけあって、足を踏み入れた瞬間に空気が変わる。
冬場なので鬱蒼とした感じは控えめなようだったけど、この薄暗さと静けさには
若干の怖さがあり、神殿の柱の様にも見えて身が引き締まるところもあった。
隙間から日光が入り込むようにと、環状2号線は片側車線ごとに分けられていて
巨大な茸に見える支柱の形は、自然との相性の良さから土木学会の賞を取ったらしい。
自分の生活圏内ではほとんど見掛けることのないシダ系の植物。
たまに小動物か何かが、ガサガサって枯葉を揺らす音が聞こえたりするけど
ここはどうやら心霊スポットでもあるらしく、事前に調べなければ良かったと思った。
そしてすぐそこには渓流の風景が広がっている。
陣ケ下渓谷公園は環状2号線の開通によって整備された自然保護公園で
それ以前は廃墟なども残っていて、かなり荒れていた場所だったらしい。
冬場は水量が少ない時期なのもあるけど、全体的に川幅は狭くて浅い様子。
とは言っても、この圧倒的な自然の迫力はなかなかのもの。
しばらく山道を進むと左右に分かれる分岐点が表れる。
左が上流側で右が杉山神社口になっていて、一旦右に進み外に出てみることにした。
先程の分岐点の杉山神社口から右側に畑のある住宅地を少し進むと
妻恋稲荷という名前のとても小さいけど、神秘的な稲荷神社がある。
拝殿やキツネが渓谷側を向いているのは、守り神のような意味があるのだろうか。
ちなみに杉山神社はここから少し先にあるみたいだけど今回はパスした。
また公園内に戻り、分岐点の左に進むとテーブルとベンチの休憩スポット。
おにぎりやお弁当を買って、ここで食べれば良かったなんて思ってしまった。
山道や険しいところを歩くとなると、やはりこれだろうということで
この日の相棒は今年で13年の付き合いになるダナーライトのカーキ。
土の上を久々に歩いたけどすごく気持ちが良かった。
さらに進んで、今回のメインの実際に渓流に下りることが出来るゲートに到着。
小さいお子さんのみや増水時、または荒天以外は基本的に誰でも入ることが出来る。
自己責任とは言っても、この様に急な階段を下りて進むのでかなりの注意が必要。
子供の頃は近所に住む友達と、すぐ近くの山を探検するのが楽しかったのを思い出す。
急な崖の階段を下りてお目当ての渓流に到着。
渓谷の上流側は木漏れ日が差し込み、神々しいような美しさもあって
人工的な物ばかりに囲まれて暮らしていると、この自然との触れ合いは感動する。
こちらは渓谷の下流側、倒木の横たわっている感じも迫力があって素晴らしい。
トトロや河童がひょっこりと現れそうな雰囲気も漂っている。
それぞれ上流側と下流側の看板の位置までは立ち入りの許可はされているけど
その範囲は狭い為、軽い川遊び程度は出来るけど泳ぐには厳しい。
水の透明度は高いけど、上流からの生活排水も少し含まれているらしく
サワガニや小魚にホタルみたいな水生昆虫が多く、ここでの釣りは期待出来ない。
ちなみにしばらく観察していたけど生き物の気配は全くなかった。
絶対ここでブーツの写真を撮りたくなるだろうと分かっていたので
予め用意していたサンダルに履き替えて、いざダナーライトの撮影開始。
渓流の風景と、このダナーライトがまた良く合う。
元々こういう場所で履く為に作られたブーツなので相性が良いのは
当たり前なんだけど、いつも以上にカッコ良く見えてしまう。
最後に自然からのエネルギーを貰おうとしているトビウオギタオ。
ここまで誰一人と遭わない正に貸し切り状態だったけど、この写真を撮った後に
人が下りて来ていたのに気付いて、見られていたのかもと思うと恥ずかしくなる。
今回は下流からメインスポットとなる、立ち入りが許可されている渓流の部分までで
公園内の上流側を残した大体半分ぐらいを散策したというところ。
そして保育園口の階段を上って今回のゴール地点の環状2号線へと。
下から上がって来ると結構汗をかくので、薄手のアウターを選んだのは正解だった。
巨大な茸のようにも見えた柱の上には、いつもの見慣れた環状2号線の風景で
真下には横浜のイメージとかけ離れた自然が広がっているのは想像しにくい。
いつかまた来る時は上流側から下るルートで見て回りたい。
陣ケ下渓谷公園は横浜駅から30分以内で行けるほどの身近な場所にあり
高低差が少なく距離も短めなので、ちょっとしたハイキングコースみたいに
桜や紅葉を眺めたりして、その季節の自然のパワーを手軽に貰える貴重な存在。
渓流の景観をじっくりと観察する意味では、ぼうぼうと草木が生い茂っていなくて
花粉や虫が増える前の冬の時期に見ておくのも良いのかもしれない。