リーバイス501XX 1950年代ギャラ入り紙パッチ 刻印16 Vol.1
本日5/20はジーンズの誕生日と言うことで
自分のお気に入りジーンズについて書いてみた。
これはおそらく1955年から57年頃に作られたと考えられ
ウエストオーバーオールからジーンズと呼ばれるようになった頃の物。
現在のジーンズの原点であり頂点に位置する物などとも言われている。
品番に付けられたXX(ダブルエックス)とはExtra Exceedの略で
当時の最高品質のデニム生地を表す呼称となっている。
XXの細かい分類の仕方はあるが、大まかに第二次世界大戦以降の1947年頃から
XXの表記が無くなるまでの1966年頃までの物をそう呼んでいる。
501XXは90年代ファッションブームをリアルに体験した世代としては
とても憧れた存在で、現在も自分の宝物と言える数少ないアイテムの一つ。
90年代半ばから後半にテレビや雑誌で取り上げられる有名人が
薄汚れたジーンズを履いていれば、大体この501XXを履いていたと言える。
代表的なのはダウンタウンの浜ちゃん、SMAPなどのジャニーズ系に
奥田民生やPUFFYなどのアーティストに、前園などのJリーガーが挙げられる。
このXXを購入したのは20年近く前で、想定していた値段よりも安かった。
色合いは淡く、だいぶマイルド系でヒゲはあまり入っていない。
実寸は縮んでいるが、もしパッチ表記があれば32×33ってところだろうか。
この上ないぐらいのマイサイズでレングスもしっかりとあり
シルエットも50年代らしからぬ、ややすっきりめで普通っぽく履けるので
かなりの頻度で履いたし洗ったしで、色はだいぶ薄くなってしまった。
今となれば、もっと休み休み履けば良かったかなと思ったりもする。
右はこのXXと同じ1950年代中期頃を復刻した501XX55年モデル。
この復刻は曖昧な部分が多く再現度は低い物とされているが
現在は閉鎖されてしまっているバレンシア工場製と言うことで人気がある。
ウエストサイズは両方とも同じぐらいだが、古い年代の物は個体差が大きいらしく
オリジナルの方がすっきりしていて、復刻の方がゆったりしている。
この2本の比較もいずれ書くかもしれない。
バックポケットのほつれを縫い直した跡があるが
それ以外はリペア無しのほぼノーダメージと言える状態。
ヒゲは若干見られるが、まったりとした表情。
悪く言えばのっぺりとした感じとも言える。
もちろんヒゲがバキバキに入っている方が良いが
これはこれで嫌いではない。
ベルトループが中央からずれて付けられている。
オフセットセンターループやオフセットベルトループと呼ばれている。
1953年頃から1964年頃までに見られる物。
これはXX期の一つの特徴でもあり、今回は触れていないが
バックポケット裏に付けられた隠しリベットなど
いくつかある代表的なディテールの内の一つに挙げられる物。
パッチは消失してしまっているが、通称ギャラ入りと呼ばれる
文言入りの紙パッチが付いていたと思われる。
ステッチが一緒に消失していると革パッチの可能性があるらしいが
しばらく残っていた後に取れた跡と、この個体のディテールなどから見ても
8:2ぐらいの割合で紙パッチが付いていたと考えている。
復刻版の物だが、本来付いていたであろうパッチがこちら。
下の方に「Every Garment Guaranteed」の文字があるのが
通称ギャラ入りと呼ばれる物で、すべての商品の品質を保証すると言う意味。
この文言は革パッチ期にも付いていたが、最後に入る時期を括りとして
名称にする為、革パッチから紙パッチに変わった1955年以降
もしくは57年から、1962年頃までの物を総称として呼んでいる。
革パッチから紙パッチへの変更は公式では1955年と言われているが
数年間は革と紙パッチの両方が付けられていたとも言われている。
これはビッグEの赤タブでも公式アナウンスと実物の間で数年の違いがあり
近年では革パッチの最終は1957年とする考え方もあるようだ。
バックポケットのカモメのように見える弓型のステッチ。
アーキュエイトステッチと呼ばれ1873年にから採用されているが
この形状の登録商標は1943年になってから行われた。
時期によって形状が微妙に違い、この時期は綿糸で縫われている為
着用を繰り返すと画像のように消失してしまう。
かつては懐中時計を入れていた為、ウォッチポケットと呼ばれていたが
現在はコインポケットと言うのが一般的になっている。
リベットに錆が出るのは旧時代の仕様の物。
見た目の割にざらつきはそこまでなく、ツルっとしていて張りがある。
ヴィンテージデニムの特徴である縦にすじが入る
所謂タテ落ちは、後の年代のシャープな色落とは少し雰囲気が違い
つぶつぶとした縦糸のムラ感はXXならではの風合い。
色の濃淡がすぐ隣の列で違うので立体的な色落を生む。
新しい年代になると製品を均一に作れるようになるので
織りムラが少なくなり、この風合いが無くなると言う仕組み。
左側腰部分色落ち。
あまり近くで撮るよりもこれぐらいの方が風合いが良く表れている。
色合いは肉眼で見た感じに近い様に全て調整してある。
右側腰部分色落ち。
左側腿部分色落ち。
右側腿部分色落ち。
膝裏にハチの巣は無し。
前所有者はこまめに洗っていたのが分かる。
膝下は色が3.4割近く残っている。
古いデニム生地は色が抜けにくいのも特徴。
センタープレスの跡が残っている。
主に履いていた方は60年代ぐらいだろうか。
裾はオリジナルのチェーンステッチなのでアタリが良く出ている。
パーフェクトと呼べるほど見事な耳の開き。
腰から裾まできれいに耳のアタリが出ている。
全体的にアタリは細めだが、右側は腿部分で太くなっている。
この辺りのランダムさも時代を感じる作り。
501XXについては細かいディテールやうんちくがたくさんあり
一回でまとめるにはとても長くなってしまうので今回はここまで。
細かいディテールにフォーカスしたVol.2に続く。