REDWING COLUMN NO.20 レッドウィング オロラセットと色の移り変わり
レッドウィングの代名詞でもある「ORO-RUSSET」とは?
「赤みを帯びた茶色」を意味した造語と言われている。
日本では「オロラセット」もしくは「オロ・ラセット」と
表記されるが、ここではオロラセットで統一。
オロラセットは1950年代初め頃から使用され
鞣した革をレッドシダーで染めたフルグレインレザー。
初期は「ラセットレッド・オロ・レザー」と言う名前で呼ばれ
次第にオロラセットと言う名称に変化して行ったそうだ。
その色合いが猟犬のアイリッシュセッターの毛色に似ていることから
オロラセットレザーを使用したブーツにその名が付けられ
現在もレッドウィング社のブランドやイメージとして確立されている。
オロラセットは時代によって色が移り変わり
本国アメリカと日本では思い浮かべる色が違い
ファンの間でも意見が大きく分かれるところ。
現在販売されているモデルは色味やその時代を細分化して
表すようになり、名称もそれによって変更され
オロラセットと単体で呼ばれることはなくなった。
ここでは90年代の物をサンプルにしながら
色の移り変わりと、その色合いを解説して行く。
オロラセットと色の移り変わり編 目次
オロラセットからの分岐
一先ずは、ブーツそれぞれの色の正式名称や製造年を無視するとして
レッドウィングの大定番875に採用されたオロラセットは
1950年代から一番左のような茶色に始まり
1990年代に入った頃から徐々に赤みが増して行く。
1996年に赤みがMAXに達した時に本国アメリカで
オロラセットを本来の茶色に戻すべく、色が見直されることになる。
そして分岐した上の875では伝統的な茶色のレザーに戻し
オリジナルの意味を含んだ、オロイジナルと名称を変え
現在のオロレガシーへと引き継がれる。
下へ分岐した日本で人気の高かった赤みの強いオロラセットは
8875へと受け継がれ、名称もオロラセット・ポーテージに変更され
他の日本モデルの赤いオロラセットも同様に
オロラセット・ポーテージに引き継がれることになった。
ブラウン期
本来のオロラセットは、このオレンジっぽい茶色になる。
この色合いは1950年代から1980年代いっぱいまで続く。
鞣した革にレッドシダーで染色して仕上げる製法を取り
ブラッククロームなどのコーティングされた革と違い
表面がとてもナチュラルな質感で、油分がとても強い革質。
このレザーは色味が薄かったり、濃かったりと
作る時期によって風合いが違い、オイルの量も変わって来る。
こちらは875犬刻印96年製、ひもは変更している。
オロラセットの色味を見直し、初期から続くオレンジ色っぽい
伝統的な風合いを再現した、オロイジナルと言われた時の物。
オイルを入れると黒ずみ、カビに弱くデリケートな部類。
長期放置すると黒い斑点の黒カビが発生しやすい。
これでもかなりオイルを抜いて色が薄くなったが
丸洗い前はもっと濃い茶色だった。
初期はオロラセットの色合いも不安定で
本来のオレンジっぽい色と違い、黄色っぽくなることもあった。
その雰囲気を再現したのが、現在のゴールドラセット・セコイア。
イレギュラー的な扱いではあるかもしれないが
一応これもオロラセットの一部と言える。
レッドブラウン期
オロラセットの色味が赤みを帯びて来た1990年頃から94年頃までと
90年代後期から現在へと続くオロラセット・ポーテージの
割とイメージしやすい平均的な赤茶の時期の色合い。
製法がブラウン期と少し変わり、赤みを強く乗せている。
おそらく日本ではオロラセットと聞いて
思い浮かべるのは、大半の方がこの色になると思われる。
色味が変更されて行った理由は不明だが
原材料の変化、環境や時代に合わせての変更など
商品を作る上での様々な理由が考えられる。
こちらは8875四角犬タグ99年製。
1996年にオロラセットが見直されることになり
レッドブラウン期を引き継いだ、オロラセット・ポーテージ。
こちらもオイル入れで黒ずみ、カビに弱くデリケートな質感。
長期放置すると黒い斑点の黒カビが発生してしまう。
1990年代初期は茶色から徐々に赤みが増す為
色は茶色寄りになり、2000年代のオロラセット・ポーテージも
この色合いに近い雰囲気の物も見られた。
レッド期
1995年から96年の赤みMAX時期。
色を見直す前の最後のオロラセットと呼ばれた時期の物。
アメリカでは異質な物と見られることもあり
他のモデルと比べても色味がとても派手。
ブラウン期やレッドブラウン期と質感が異なり
表面にコーティング感があるので
厳密にはフルグレインレザーとは言えないかもしれない。
日本ではこの時期にちょうどレッドウィングがブームになった為
90年代半ば当時からハマったファンの方は
オロラセット=赤みMAXと言うイメージがある。
こちらは875半円犬ダグ96年製。
引き継がれたオロラセット・ポーテージでも
98年製ぐらいまで、この風合いに近い物が見られる。
塗膜が強く光沢があり、オイル入れでの変化は少なく
経年変化もあまり起こりにくい革質。
ディープレッド期
引き継がれたオロラセット・ポーテージでも
赤茶、赤みMAXと、このワインレッドのような物も見られる。
この風合いは90年代後期から2000年代初めぐらいの物など
近年の物でも周期的に、この色合いに似た風合いの時期がある。
こちらは8166四角犬タグ99年製。
革質は塗膜が強く、カリっとしていて油分は少ない。
レッド期と同様に経年変化がしにくく、四つの中では一番丈夫な革質。
比較
左上ブラウン、右上レッドブラウン、左下レッド、右下ディープレッド
こうやって見比べると色味の違いが良く分かる。
一応製造年は左下から時計回りに古い順になっている。
ちなみに全てP8の第8工場で製造された物。
横に並べた方が違いがもっと分かりやすい。
ざっと四つのタイプを例に上げて見比べてみたが
自分の持っている物の範囲での比較になるので
特に古いモデルに関しては、深い部分は表現出来ていない。
もっと細分化出来ると思うが、それは他の方におまかせするとして
自分は得意分野の90年代物を中心に今回は書かせてもらった。
日本国内での取り扱いの強化などが重なり
数年ごとに比較的大きな仕様変更がされているので
同じ品番でも全く違うモデルのように分かれる。
この期間が好きなものとしてはとても面白い。