今回のお気に入り武居商店シリーズは、寒くなって来たこの時期にぴったりな鴨せいろそばつゆ。
武居商店は横浜で明治5年に創業した液体調味料メーカーで、近年は一般向けにも力を入れていて
この鴨せいろそばつゆは、お湯や水で割るだけでプロの蕎麦屋さんの味が簡単に再現出来てしまう物。
以前は大容量サイズで販売されていたところ、今期からは便利で使いやすい300gサイズに変更して
再ラインナップされることになり、武居商店直売所価格は税込み600円で販売されている。
直売所と価格は少し変わってしまうけど、Yahoo!ショッピングと楽天市場でも購入することが可能。
武居商店直売所は横浜南部市場内の食の専門店街にあり、基本は水曜日定休の9:00~16:00までの営業。
最寄りとなるシーサイドライン南部市場駅は、JR京浜東北線(根岸線)新杉田駅乗り換えて一つで
自分はいつもJR新杉田駅から散歩がてらに歩いて通っていて、改札から南部市場は20分ほど。
※横浜南部市場内での支払方法は現金のみの対応という店舗が多いので要注意。
年内の通常営業は30日まで(31日は店舗次第)、年明けは5日から営業開始とのこと。
鴨せいろそばつゆの希釈する目安は、かけそばのつゆには5倍ほどに、つけつゆとしては2倍~3倍。
かけそばやうどん1人前のつゆの総量が大体300gとして、鴨せいろそばつゆの希釈率の割合からすると
1人前に使う量は60gほどになるので、この300gワンパックで5人前入りというところ。
そして気になる鴨せいろそばつゆの中身は、左が原液そのまま、右はお湯で5倍に薄めた様子。
和食らしく甘みを際立たせ、鰹節やさばの魚介系と合鴨などの動物性エキスと脂の旨味が溶け込み
市販の鴨だしカップ麺などとは雰囲気が全くの別物で、とにかく香りの豊かさが素晴らしい。
鴨の野性味とかクセもほとんど感じないので、特別苦手ではなければ色んな料理にも使えそう。
この鴨せいろそばつゆを使って、かけつゆとつけつゆの蕎麦2パターンを作ってみようということで
スーパーで購入したこれらの合鴨もも肉や乾麺の蕎麦、三つ葉に長ネギを用意した。
合鴨肉は200g弱で600円ほどの物で、いざ探してみると意外と売ってないんだなと気付いた。
鴨肉は脂が溶けやすいということなので、油を引かずに弱火でネギと一緒にじっくりと焼き
ネギにも軽く焦げ目が付いたら、裏面に返してある程度火が通ったところで加熱終了。
焼きたての鴨肉がとても美味しそうだったので、そばつゆをちょびっと垂らしてつまみ食い。
シンプルな麵つゆや醤油とも全く違った、旨味が濃厚な和風だれで食べる焼肉という感じ。
続いて鍋に鴨せいろそばつゆ120g、水480mlの希釈率5倍に合わせて軽く煮立たせる。
そこに先程焼いた鴨肉とネギを加えて、蕎麦を茹でている間に弱火で馴染ませておく。
前以てかけつゆで2品作ろうと思い付いていたので、一人前よりも多めの分量を用意した。
茹でておいた蕎麦にかけつゆと合わせて、三つ葉を乗せれば鴨南蛮蕎麦の完成。
一杯あたりのコストは330円ぐらいで、合鴨肉を鶏肉などに代用すれば相当抑えられる。
ちなみにつゆが透き通るように、茹でた蕎麦は流水で洗って締めてから熱盛りにしておいた。
元々脂の強めな鴨せいろそばつゆな上に、更に合鴨も加わっているのでかなり脂多めな仕上がり。
鴨の脂はあっさりしていて食べやすく、効能的にも魚の脂みたいな感じで脂質としては優秀らしい。
かけつゆの希釈率5倍はどちらかと言えば、濃いめの味が好きな方向けの割合という感じで
自分はあっさり系や素朴さよりも、こういう風に味がしっかりしている蕎麦の方が好み。
鶏肉とは違う鴨肉特有の旨味の濃さと、ぶりんぶりんの歯応えがとても良い感じ。
ネギもとろとろになってはいるけど、次回は別で焼いてもっと焦げ目を付けたいところ。
以前冷凍の鴨南蛮にハマっていたけど、これを覚えてしまうと満足出来ないかもしれない。
多めに作っておいたかけつゆに、焼いた餅を合わせて関東風のお雑煮にしてみた。
器が小さいのもあって脂がかなり目立つけど、やはり鴨の脂だとそこまでしつこくはない。
ただ鴨南蛮用をそのままお雑煮に使うと相当濃く感じたので、更に希釈して7倍とか8倍が良さそう。
もちろん先程の鴨南蛮蕎麦と同様に、合鴨肉とネギもお雑煮の具材としてトッピング。
まるで油揚げのようにも見えるのは餅で、飲み干すには濃かったつゆが餅にはむしろちょうど良く
この味が染み染みな感じが気に入って、毎年余りがちな餅の消費パターンが一つ増えた。
次は焼いた合鴨肉をざっくばらんに刻み、横浜平沼の田中屋名物きざみ鴨せいろ的な物を作る。
フライパンで焼いた時に出た脂を捨てるのが勿体なかったので、多少拭き取りつつ残しておき
鴨肉40gと長ネギ約10cmを刻み、つけつゆ用にそばつゆ60gに水120gの希釈率3倍で軽く煮込む。
鴨肉の透明な脂の膜が張った、具沢山でパンチのある鴨せいろつゆに仕上がった。
当然こってりはしているけれど、さっぱりとした合鴨の脂なら翌日も引きずらずに行けてしまう。
田中屋は家系ラーメンの白濁したスープみたいな印象があるので、ガラからも出汁を取っていそう。
冷たく仕上げた蕎麦に何となく三つ葉を飾れば、なんちゃってきざみ鴨せいろの完成。
ちなみにきざみ鴨せいろという名称は田中屋の商標登録品になり、無許可では使用出来ないらしく
横浜周辺になると鶴見の田中屋か、みなとみらいにポツンと店を構える香露庵になるのだろうか。
調べると県外の蕎麦屋さんでも提供されているようではあるものの、手広く展開はしていない様子。
焼いた鴨肉がごろごろとたくさん入っているのは、自作が本家よりも上回っていると思うところ。
食べ進めるごとに蕎麦の水分で薄まって行くので、一番濃厚な一口目を特に味わっておき
当然温かいつけつゆに冷たい蕎麦の組み合わせなので、冷め切ってしまう前に食べたい。
ほぼ食べ終わりになっても鴨肉が残っていて、蕎麦は二束でも良かったなとか思いながら
捨てずに残しておいた蕎麦湯でつゆを割って飲み干し、自作のきざみ鴨せいろを締める。
鴨肉探しも含めて気合が入っていたので、次はギャップのある冷凍焼き鳥を使ったレンジ調理の親子丼。
親子丼の割下にそばつゆを使い、一人前の食材は卵2個と小さめの玉ねぎ半分に冷凍焼き鳥3本。
今回使う冷凍の焼き鳥は、業務スーパーで400円ぐらいで売っている10本入りのぼんじりで
これと長ネギを一緒に焼いて、塩だけでささっと味付けするのが最近お気に入りのおつまみ。
このぼんじりは味付け無しなので、鴨せいろそばつゆ50gにお湯75gの希釈率2.5倍ほどの濃いめにし
予め加熱して串から外したぼんじりと、玉ねぎを割下に入れてラップを掛け、500ワット2分ほど加熱。
更に溶き卵を入れて軽く混ぜて全体を馴染ませ、同様にラップを掛けて様子を見ながら1分ずつ加熱。
容器がフラットだと全体が均一になり、ラーメン丼みたいなのだと中央に火が通りにくくなる。
好みの加減になったら、スプーンやへらを淵から底まで入れ込み、器から離れやすくしておき
後は用意しておいたご飯に激熱な器に気を付けながら、ずるっと大胆に流し込むように盛れば完成。
中央に火が通りにくいのを利用して、外しっかり中央プルプルな感じの加熱は計4分にしてみた。
全く火を使わずにレンジで簡単に出来る、冷凍の焼き鳥と鴨せいろそばつゆを使った親子丼。
正直に言ってしまうと、鴨せいろそばつゆの鴨風味は卵に吸われてしまってあまり感じないけど
それでもレトルトの親子丼とは全く別物の、蕎麦屋さん的な出汁感のある味わいになっている。
今回作った所謂親子煮は一人前としては特盛サイズになり、ご飯込みでも大まかに計算して250円ほど。
この電子レンジで簡単調理の親子丼は、自分としてもなかなか良く出来ていると思う。
深さのあるラーメン丼を使って加熱しているので、中央は火が通り切らずに半熟気味になり
鴨せいろそばつゆとぼんじりの脂が、すぐに熱せられる外側もぱさぱさにはならずに保っている。
玉ねぎの芯が軽く残りながらも柔らかくなり、辛みも飛んで甘みを引き出せているのも良い感じ。
卵で相当薄まるのを想定して割下は濃いめにしたけど、程良いバランスの味付けになった。
割下の量も125mlほどのやや多めにしたこともあって、つゆだく気味な仕上がりになっていて
熱がグラデーションのように入るので、端は茶碗蒸しに底は出汁入り卵かけご飯みたいな感じ。
以前作った炭火焼きよりも見た目は地味ではあるけど、ぼんじりのぷるぷると柔らかい食感はアリで
今回の物は味付け無しだった為、割下の味が入るように早めに投入しておいたのも正解だった。
鴨南蛮でもあった方が良いかなと、単純に見栄えを考えて用意した三つ葉が良い仕事をしていて
この茎の部分のシャキシャキとした食感と、苦みがアクセントになって今後は必須になりそう。
三つ葉は冷蔵庫なら意外と日持ちするので、味噌汁や豚汁を作った時にもパパっと散らして使いたい。
鴨せいろそばつゆと同じく冬季限定として、昨年は年末に発売された特製そばつゆも11月から登場。
丸一日掛けてじっくり丁寧に炊き込んで仕上げる為、製品としての生産性がかなり低いらしく
市販のめんつゆよりも、鰹節の香りと旨味が数段上というのが、和食に疎い自分でもはっきりと分かる。
以前はパウチですら敷居が高いと思っていたのに、いつの間にかこだわり和食系にまで手を出すとは…。
このそばつゆの希釈率も鴨せいろそばつゆと同様に、一般的なつけつゆは3倍のかけつゆは5倍程度で
年末年始のちょっとした贈り物としてもぴったりな、200mlガラス瓶入りの税込み650円。
今年の年末も直売所では年越しそばセットとして、製麺所の生そばも合わせて販売予定とのこと。
このそばつゆのポテンシャルを知るには、シンプルなざるそばのつけつゆとして使うのが手っ取り早い。
水で薄めても鰹節の香りや甘みなどの存在感が際立っていて、これぞプロ仕様と驚くばかりで
塩味よりも甘さの欲しくなる天つゆも、自分好みのちょうど良い加減に調整して希釈すればOK。
昨年の年越しそばはこのそばつゆを使い、近所で購入して来た海老天とかまぼこを乗せてみた。
鴨せいろそばつゆは以前から気になっていたものの、お得な大容量=保存問題が厄介になってしまい
手を出せずにいたところ、今回使いやすいサイズにリニューアルされ、絶好の購入機会を得た。
あまり年末年始の料理とかを意識したりしないけど、とりあえず年越しそばとお雑煮はこれで準備OK。
気になる方は南部市場内の武居商店直売所、各種ECサイトでも入手出来るので覗いてみては。