昔購入してから着なくなって封印していた服シリーズ、今回は古着のリンガーTシャツ。
比較的クセの強いアイテムなので着用していた期間は短く、購入時期も明確に覚えていないけど
90年代半ば~2000年代辺りの、個人的にアメカジ色が最も強かった頃だったと思う。
どれも70年代~80年代製という、当時はレギュラー古着として安く売られていたけど
現在では高値が付けられるような年代に差し掛かって来ていたりする。
そして今回掘り返してみて、結構貴重だったということに気付いて嬉しい物もあった。
リンガーTシャツは首回りや袖に色付けられていて、体操着のようなスポーティーな見た目が象徴的で
その名前は英語のRINGから取られ、装飾感からTRIMのトリムTシャツと呼ぶ場合もある。
ボディーに対して襟や袖のパーツに違う色であることが基本的な作りではあると思うけど
細かく見てみるとパイピングが外付けだったり、内側に縫い合わせのリブ仕様だったりとか
メーカーによって様々な作り方をしているのも、改めて気付いた部分でもあった。
※右下の茶色い物は古着ではないので今回は登場していない。
先ずは青杢ボディーの「Mount Saint Mary College」というニューヨーク州の大学の物。
ボディーは70年代~80年代ぐらいに主流のコットンとポリエステル混と思われるけど
その割にプリントが新しく感じるので、後からプリントした可能性も否定出来ない。
ファンの方は「MSMC」という文字列だと、ミスチルを思い描いてしまうかもしれない。
ボディーにタグは残っているものの、何も見えずブランドなどの手掛かりはない。
首回りも袖もリブ仕様となっていて、かなりマイナーブランドの様な感じがする。
続いては赤い縁取りとプリントが、アメリカンな雰囲気を醸し出しているTシャツ。
ボディーメーカーは不明だけど、薄くて柔らかいので80年代ぐらいという雰囲気。
ずっとアラスカ土産だと思っていたら、フィリピンのアラスカミルクという会社の物らしく
日本でも普通に流通している食品メーカーとは、今回調べるまで全く分からなかった。
何故フィリピンの会社かと判明したかは、このバックプリントの文字にあった。
この「galing」は英語だと思っていたら、タガログ語というフィリピンの言語だと判明し
先程のアラスカミルクという会社に繋がり、おそらく販促用やノベルティと思われる。
「galing」とはすごいとか、最高という意味のようで、「すごいすごい!」という感じらしい。
袖のリブが細長い作りをしていて、赤い色味ということもあって主張が強め。
フィリピンのメーカーということで、ボディーもどこか無名の物を使っている様子。
調べてみると何の為に作ったかが分かるのが、古着の面白いところでもある。
緑色の杢感と古い年代らしいBOX型のシルエットが、良い雰囲気を醸し出している。
これはスポーツウェアというブランドの物で、レーヨン混なのでおそらく60年代と思われ
今回取り上げた中で年代が一番古く、今なら五桁ぐらいの値段が付くかもしれない。
プリントされている「KEGGER」とは、野外でビールを飲むパーティーみたいなものらしく
「ΛΧΑ」=ラムダ カイ アルファという学生組織の酒飲みクラブになるようだ。
とても見えづらいけど、男性が樽からビールを狂ったように飲んでいる。
首周りは外付けで袖はリブ仕様、しかも色が全く違うという古き良きアメリカを感じる作り。
タグの下の方はほつれて見えなくなっているけど、ブランド名などは確認出来る。
このタグは検索しても見付からなかったので正確な年代は不明だけど、新しくても70年代前半
先程も書いた通り、レーヨンが入っていることからもう少し古い60年代と予測している。
古い年代はsportswearの最初のsが大文字らしく、これは大文字なので期待が出来る。
実はスポーツウェアをラッセル社が作っていたというのを割と最近になって知った。
「WPL」とはWool Products Labelingの略で、アメリカで織物などの製造や販売を行う際に登録し
それに続く数字がそのブランドや会社に割り当てられているものなんだそうだ。
そして数字の「7232」が、かつてのラッセル社に当てられたナンバーということらしい。
この登録制度は任意だったようで、現在は「RN」に統一されているとのこと。
※RN51884=パタゴニア、RN67635&RN19672=ラルフローレンの年代もしくは部門違い?など。
最後は封印中の封印、胸に「LORI」という小さくてもインパクト特大のプリント入り。
あくまで人名だと思うけど、当時からその言葉がどういう意味なのか知っていたはずなのに
これを選んで普通に着ていたのは気にしていなかったのか、ちょっと心境が思い出せない。
先程の緑杢と同じくスポーツウェアの物で、70年代後半~80年代ぐらいとなっている。
バックには大きめに「MARS FLAG CORPS」のプリント入り。
日本に同名の企業があるようだけど、それとは全くの無関係と思われる。
スポーツウェアは袖がリブになっていて、襟みたいなバインダー仕様ではないらしい。
このタグにも「WPL7232」の文言が入っていて、ラッセル社が製造したと分かる。
社名が入っていないとは思っていたけど、そういうことなんだよと昔の自分に教えたくなる。
その教えたい頃のLORITシャツを着用したギタオ20歳の写真が見付かった。
レッドウィング以外は全て当時の物で、ギターを始めて数か月という握り方にも素人感がある。
この頃は少年の体つきをしていたし、時代的にもタイトなアメカジスタイルは普通だったけど
今これらを着こなすとなると、アスリート並みのトレーニングが必要になりそう。
こういう昔の写真とそれらのアイテムが手元に残っていると、自分が着用していた事実に
懐かしさや気恥ずかしさ、嬉しさと面白さみたいな、複雑で色んな感情が湧き出て来る。
当時のファッションをなるべく写真に残しておくべきだったなと思ったりもする。
折角引っ張り出したので、今の自分が着たらどうなるか興味が湧いて着てみることにした。
左は少々ルーズなのでそれほど違和感はないけど、右はぴちぴちとしたサイズ感が危うい。
こういう中濃色のレギュラーシルエットのジーンズを合わせると、靴を何にしたところで
レトロ感を昇華するのが難しくて、正直言って着こなすイメージが湧いて来ない。
封印していた服シリーズでも屈指の難易度だった、今回の古着のリンガーTシャツ。
現代的なゆったりめのサイズ感で着こなす分には、決して難しくないのかもしれないけれど
トップスは出来れば、タイトからジャストで着たい自分には更に寝かせる期間が必要だと感じる。
今後ぴったりとしたサイズ感が流行った時にどういう気分なのか、また見直してみたい。