REDWING COLUMN NO.82 レッドウィング レザーインソールのメンテナンス
今回はブーツ表面ではなくて、内側のインソール部分(中底)のメンテナンスについて。
レッドウィングのブーツはレザー製のインソールを採用したモデルが多く
以前までは表面ばかりに目が行って、ほとんど気にしたことがなかったけど
ブーツの丸洗いをするようになってからは定期的にチェックするようになった。
このレザーインソールの状態は履き心地に直結するところなので
ある意味一番怠ってはいけなかったのかもしれないと改めて考えたりする。
ちなみに別途で一枚インソールを入れたりする方もいるけど、自分はそのまま履く派。
ブーツや革靴を一日履くと両足でコップ一杯分の汗をかくとも言われていて
週一か二回ぐらいのペースで履くのが理想で、あまり休ませずに頻繁に履くと
皮脂汚れに加えて汗の水分が抜けずに蓄積されて劣化が進んでしまう。
長年履いていれば画像のように、変色してひび割れを起こして行くのは
宿命というか必然的な部分もあるけど、定期的に確認してメンテナンスを行って
良い状態を保つ、もしくはここからの劣化を遅らせられるかが大切になる。
中底交換と言って、一応インソールは新しい物に張り替えることは可能だけど
解体が必要な高額修理となるので、なるべく長持ちさせたいところ。
以前はインソールの保革用としてデリケートクリーム使っていたけど
ブーツの表面みたいにしっかりと塗り込めないので、どうしても塗りムラが出来て
白くスジが残ってしまい、あまり見栄えが良くないのが気になっていた。
見えない部分なのでそこまで気にする必要ないのかもしれないし
もちろん塗る物は人それぞれ好みの物を使えばOKだと思う。
自分が使っているのは毎回のように登場するMモゥブレイのクリームエッセンシャル。
保革効果、艶出し、汚れ落としの三つの要素をこれ一本で出来る優れモノ。
マルチな性能故にそれぞれに特化した物に比べれば、物足りない部分もあるけど
個人的にはカジュアルなアイテムの艶出しにはちょうど良い具合だと思うし
さらに有機溶剤不使用という点でもインソールに塗るのにも適している。
今回はだいぶ履き込んだ個体のメンテナンスなのでステインリムーバーも使用し
汚れ落とし、クリーム塗布、仕上げの乾拭きとして使う三回分の布も用意した。
今回のインソールメンテナンスは現在もたまに履いている2002年製の8160。
8160は現在生産が中止されている茶色のガラスレザーを採用したモデルで
ブーツ表面もクリームエッセンシャルを使って仕上げている。
この8160のインソールは履き込んで自然と光沢感が生まれていて
以前は朝から晩までの比較的長い時間履いていた為、やや濃い色をしている。
カビではなさそうだけどシミも見られ、若干だけど硬化しているような状態で
このままだと指先の方が大きくひび割れて来そうな雰囲気もある。
さすがに20年モノということで内部には埃がかなり溜まっていたので
掃除機を使ってある程度取り除いてからステインリムーバーで汚れ落とし。
割と新しめの状態だったり、明らかに綺麗なら汚れ落としは不要だと思う。
スーパーソールみたいなウレタン素材のインソールならこれで終了となる。
つま先の方はこんな感じで手探りで行うが、棒状の物を利用しても良いし
要らなくなった手袋を使うのも手の保護にもなって良いかもしれない。
両側をたっぷりめのステインリムーバーで拭いてみたところ
やはり長年の色んな汚れが溜まっていたみたいだった。
汚れ落とし後は通気性を良くする為、斜めに立てかけて水気が落ち着くまで放置。
濡れた感じが落ち着いたら、クリームエッセンシャルを少しずつ布に取って
全体にしっかりと塗り込むが、やはり奥のつま先側はとても塗りづらいので
指の感覚で染み込み具合や硬化している場所を確認しながら入念に行う。
著しく硬化していたりする場合は先にデリケートクリームを塗るのも良いと思う。
クリームエッセンシャルを塗るだけでも更に汚れが落ちたようで
中古だったり特別古い物でなければ、やはりこれ一本で充分かもしれない。
最後は別の布で乾拭きして余分なクリームの拭き取って馴染ませる。
光沢が生まれると同時に足裏の当たりが若干つるつるとしてしまうけど
しばらく履けば落ち着いて来て違和感はなくなって行く。
奥の方までしっかり乾拭きしてインソールのメンテナンスの終了。
やはり潤ったことでモチっとしてメンテナンス前より弾力が増している。
ビフォーアフターで比較しても見た目はそこまで変化はない。
クリームエッセンシャルのマルチ性能の良さは中途半端とも言えるけど
ミンクオイルみたいに保革効果が高い物だと、柔軟性が増すが若干のべとつきがある。
しかもこのクリームはたっぷり塗り込んでもレザーの色があまり濃くならないので
失敗を恐れずに大胆に行えるのは、メリットとして大きいものと感じていてる。
インソールの踵側を見てもほとんど変化は見られないけど
縁に残っていた埃もだいぶ取り除けていて清潔感はかなり増したと思う。
これじゃ地味過ぎるってことで、↓に別の個体で記録しておいた画像を用意した。
こちらは以前877を丸洗いした時に撮っておいた画像。
どんなにインソールを優しく洗っても、左の削ったようになってしまうけど
クリームエッセンシャルをしっかり塗り込んで乾拭きすることで
インソールの保革だけでなく、削れた跡を補修するような意味合いもある。
この画像も877のインソールの踵側。
ちなみに丸洗い前の画像はないが、アフターと大体同じような感じで
洗う前のナチュラルな潤いや光沢感にかなり近付けることが出来た。
中古品を取引する時に洗った後、ここまでしてくれるとポイント高くなりそう。
以前頻繁に履いていたレッドウィングを何年か振りみたいに久々に履く時は
インソールの劣化の可能性があるので、実際に触って状態のチェックをして
ブーツ表面だけでなく、こちらもしっかりとメンテナンスしておきたい。
今回行ったインソールのメンテナンスは長持ちさせるのはもちろんだけど
初期のカビを予防する効果も期待出来るので、ブーツシーズンが終わって
しまったり休ませる前に行うのが、理想的なタイミングになるかもしれない。