REDWING COLUMN NO.79 フェザーストーンベックマン終売について。
10月12日は米国レッドウィング社の創業者のチャールズ・ベックマンの命日で
ファンの間では年に二回ある特別な日の「レッドウィングの日」とされている。
既に公式発表されたが、今回はやはりレッドウィングの日ということで
フェザーストーンのベックマンブーツが終了することに触れておくことにした。
ベックマンブーツはその名の通り、レッドウィングの創業者の名前が付いたブーツで
米国の20世紀初め頃の紳士靴をイメージして作られたモデルとなっている。
その時代は自動車が普及する前だった為、石だらけの未舗装の荒れた道路が多く
男女問わず革靴は少し長めのこのブーツ丈が一般的だったそうだ。
このベックマンブーツとアニメ作品の「あらいぐまラスカル」の時代設定は
大体重なるみたいなので、もしかしたらイメージしやすいかもしれない。
その後1930年代から自動車が普及し、道路の舗装が進んで歩きやすくなったことから
革靴の主流はブーツ丈から短靴へと移り変わって行ったとも言われている。
ベックマンブーツには日本未入荷モデルなども含めて、いくつかのタイプがあるが
この6インチ丈のブーツはクラシックドレスラインとしてラインナップされ
2005年設立のレッドウィングジャパンを支えるような中心的な存在だった。
公にされてとても驚いたが、コロナ渦の業務停滞に加えてサイバーテロ被害に遭い
追加生産体制が難しくなってしまい、継続せずに新モデルへ移行ということらしい。
そして、このドレスシューズのような光沢感が魅力的なフェザーストーンレザー。
フェザーストーンはベックマンブーツ用に開発された特別なレザーで
原皮の中から5%ほどしか取れない、滑らかな部位を選んだ高品質な物。
自分の所有してる物は2007年製旧品番の9011ブラックチェリーというカラーで
バーガンディーに黒や茶色を加えた様な深みのある風合いが特徴。
このレザーはフェザー(羽根)のしなやかさとストーン(石)の頑丈さを表すと共に
米国レッドウィング本社のある地域一帯の名称でもあったそうだ。
自分のベックマンはアウトソールが加水分解してしまう時期の物だったので
張り替え時に純正とは違ったニトリルコルクソールでカスタムしている。
古い年代のクラシカルな中にもう少しドレスっぽい雰囲気を出したくて
ヒールベースを加えて若干ヒールを高くしているが、生産中止なんて言われると
純正仕様に戻したくなるような気もしてしまって最近はとても悩ましい。
当時タイトに着る革ジャンに合うブーツを探していて、見付けたのがこのベックマン。
レッドウィング=アイリッシュセッターの白いソールというイメージが強くて
レッドウィングでこういうレトロなのに上品なタイプのブーツは新鮮に思えた。
最近はシーズンに数回履く程度だけど、購入当時はそれはもう履きまくって
自分の物より味の出たベックマンを見掛けることは先ずなかった。
↑は現在と同じベックマンをノーメンテで履きまくっていた頃の画像。
純正仕様のソールにトゥの退色やウェルトの油分が足りてない感じからも
ブーツはハードに履いてこそみたいに思っていた頃が振り返られるのは面白い。
靴磨き=掃除みたいな位置から趣味になったのもベックマンとの出会いがあったからで
それまではブーツはラフに履いてミンクオイルをパパっと塗ってお終いみたいに
あまり使う物もこだわらずにいて、靴磨きと言えるようなものではなかった。
今ではこのブーツにはこれで、あのブーツにはあれでと、色々使い分けるのが楽しくて
日々のブラッシングの大切さなども学ぶきっかけになった。
このベックマンは自分のレッドウィング熱が再燃するきっかけにもなったモデルで
やはり今年のレッドウィングの日は例年とは少し違った特別な感じがある。
いつもしているメンテナンスでは主に他社のグッズを使っているけど
今回はレッドウィングの純正品を使って磨き上げてみようと思う。