REDWING COLUMN NO.55 レッドウィング メンテナンス 2268エンジニアブーツ編
今回はレッドウィングのブラッククロームのエンジニアブーツのメンテナンス。
茶芯の記事を書いた時にちょっと乾いて来ているなと言う印象だったので
たぶん数年振りぐらいにオイルアップをすることにした。
自己流なところもあるが旧時代の茶芯レザーの為、補色はせずに仕上げた。
ブラッククロームレザーは表面が厚い塗膜に覆われている為、油分が抜けにくく
こまめなオイル入れの必要がないとされ、とてもお手軽なレザーとなっている。
ただし、頑丈な質感から履き慣れるまでに時間が掛かってしまい
特にエンジニアブーツは自分の物にする前に挫折してしまうことも多い。
レッドウィング2268と言えば、1994年フジテレビ系ドラマ「若者のすべて」。
作中でキムタクが履いていたのが、このエンジニアブーツ。
このドラマは自分のファッションと音楽の趣味の両方を決定付けた作品。
しかも自分の所有している2268は1994年9月製となっていて
ドラマ放送とほぼ同時期に作られ、日本に渡って来たと思われる物。
ざっくりと深めに入った傷も多いが手放すことの出来ない大切な一足。
メンテナンスに用意したのは現在育て中のレッドウィング純正の馬毛ブラシ。
モゥブレイのステインリムーバー、クリームエッセンシャル、塗布用の布。
大阪や神戸にある、レッドウィングのソール交換で有名なショップの
オリジナルのミンクオイル「ブーツフィニッシュ」を使用した。
先ずは基本のブラッシング、ベルトを外して隠れている部分もしっかり行う。
ウェルトなどの埃が溜まりやすい所は入念に。
ステインリムーバーで汚れ落としと古いオイルやクリームの除去。
この作業はオイルやクリームを塗るだけでも、表面の汚れ落としになるので
何年かに一度ぐらいのペースで問題ないと思う。
ベルトで隠れている部分は少しカビ易いので入念に行った。
ついでにバックルもリムーバーで軽く磨いておいた。
メンテナンス前後で劇的な変化は見られないので途中の様子の比較。
左はステインリムーバー使用前、右がステインリムーバー使用後。
一気に光沢感が無くなり、ぼやっとした質感になる。
リムーバーの水気が落ち着いたら、再度ブラッシングで表面を整える。
そしてベックマンオリジナルのミンクオイル、ブーツフィニッシュを入れて行く。
べっとりと塗るのではなく、様子を見ながら薄く伸ばす様に塗り込む。
オイルを塗り込んだら数時間放置し、浸透して行くのを待つ。
このオイルは市販されている一般的なミンクオイルよりも浸透しやすく
べとつきを抑えた良いとこ取りで、スクワランオイルなどが配合されたオイル。
浸透性の良いオイルと言えば、馬油を使用したマスタングペーストが有名だが
そのマスタングペーストと一般的なミンクオイルの中間的な物を目指したとのこと。
黄色く塗られた部分はシャフトと呼ばれる、筒状のパーツになる。
自分はシャフトにはミンクオイルは塗らないようにしている。
ミンクオイルやマスタングペーストなどの浸透性の高いオイルは
柔軟性を高める効果がとても高く履き心地が向上する。
ただし、その柔軟性の付加は考え方によっては、レザーのコシがなくなるとも言え
特に丈の長いブーツはシャフトにオイルを入れ過ぎると、型崩れを起こしやすく
シャキっと立たなくなってしまうので、それを避ける為に別の物を塗っている。
これはビジネスシューズなどのアイテムとミンクオイルの相性が良くない理由の
一つにもなっていて、一旦柔らかくなってしまうと元の張りのある状態に戻らない。
長く使いたい革ジャンなども、オイル入れの度合いと種類をシビアに考える方が多い。
ブーツフィニッシュを塗って3時間ほど放置、ほぼほぼ浸透したので
軽くブラッシングをして、仕上げのクリームエッセンシャルを塗って行く。
ブーツ本体部分はオイルとクリームのダブル塗りと言うことになる。
布に取ってウェルトなどもしっかり塗り込んで行く。
シャフトやベルトは柔らかくなり過ぎないようにしている部位の為
オイルを塗っていないので、クリームエッセンシャルで油分補給。
ベルトの付け根や履き口など細かい部分も、布に薄く取って塗って行く。
左は馬毛ブラシのみで仕上げ、右はクリームを塗った直後。
クリームエッセンシャルは塗っただけだと、白く膜が残ってしまって
光沢感が全く出ないので、仕上げにしっかりとブラッシングをする。
ブラシは埃落としやミンクオイル、クリーム塗布後も全て同じ物で行った。
これはブラシの毛をオイルやクリームでコーティングして育てると言う考え方。
ベルトは外して保管派もいると思うけど、自分は変なクセが付かないように
ベルトをしっかり通して着用状態にしてメンテナンス完了。
そして保管する時はブーツ内に新聞紙を上までびっちりと詰めておく。
シャフトがピンと立つようにしておくと型崩れを防げる。
なるべくこの状態で保管が良いが、箱などに入れて保管する場合も
ブーツ内にはしっかりと詰め物をして形をキープしておきたい。