REDWING COLUMN NO.54 レッドウィング ストームウェルト
ストームウェルトとはストーム=嵐の意味から取られた名前で
本体とウェルトの結合部分からの雨や埃の侵入を防ぐ為に作られている。
かつてはアウトドア向けモデルや厳しい環境に適したウェルトとされていたが
現在ではビジネスシューズなどにも多く採用されていて機能性と言うよりも
そのデザインを中心に考えて使われることが多くなっている。
レッドウィングの多くのモデルはグッドイヤーウェルト(ウェルテッド)製法と
呼ばれる作り方を採用し、これは1800年代後半から続く革靴の伝統的な製法で
アウトソールの張替えが容易な為、長く履ける作りとなっている。
この製法で使われているウェルトとは、本体の周りをぐるりと縫い付けられ
ブーツ本体とアウトソールを繋ぐパーツになっている。
ウェルトの上のステッチは微妙に色が違う層のミッドソールに縫い付けられていて
外からは見えないようになっているが、底側に出されて縫われることも多い。
アウトソール上のミッドソールが問題無ければ、アウトソールのみを替えられ
そしてミッドソールにダメージが入ってもウェルトが無事なら
ミッドソール+アウトソールの張替えも可能になる。
そして本体に縫い付けるウェルトも新しくすることが出来るので
グッドイヤーウェルト製法は半永久的に着用可能となり
アウトソールが減った後には、好みの物にカスタムする楽しみもある。
今回のストームウェルトはウェルトにとてもボリュームがあり
ウェルトがЛ←のような形状に盛り上り、壁のように本体に沿っている。
この壁が内部へのダメージを軽減する役割となっている。
そして次はノーマルウェルト版との比較。
左のストームウェルトを採用した8175と、ノーマルウェルト版の右の875の比較。
8175は875をベースにし、ウェルトとアウトソールを変更したモデル。
右がノーマルウェルトで、フラットウェルトや平ウェルトとも言われる物。
本体との結合部分がやや露出していて、ボリューム感は無い。
逆に言えばスマートな印象があるとも言える。
8175と875ではアウトソールが別物なのでウェルトの印象よりも
アウトソールの黒と白の差の違いの方が強く感じてしまうかもしれない。
この黒いソールは逆側の足を傷付けると黒く跡が残る。
ヒールの厚みもかなり違うが、ストームウェルトはパンツの裾を
ロールアップしているようなボリュームとイメージ。
ストームウェルトはノーマルウェルトよりも若干外に張り出す為
アウトソールも少し大きめになっている。
改めて見るとストームウェルトはとても存在感がある。
現在所有しているストームウェルトを採用しているモデルはこれら。
8175の黒レザーバージョンの8176、度々登場の699ロガーブーツ。
スーパーソール仕様の8133もストームウェルトになっている。
ストームウェルトはアウトソールが頑丈な物に適しているとも言われ
ビブラムラグソールとの組み合わせは鉄板の組み合わせとなっている。
某レッドウィング中古販売大手の方曰く、ノーマルウェルト+ビブラムラグソールは
本体への負荷が強いらしく、長い目で見ればストームウェルトが推奨とのこと。
ストームウェルトはそのボリューム感から、好みが分かれるところで
個性を出したい方や重厚感のある雰囲気を楽しみたい方向けと言う感じはある。
8175や8176は2016年に再販されたが、現在はまた廃番となっていて
この仕様のモデルは現在のレッドウィングでは少なくなっているが
たまに履いている方を見ると、やっぱり良いなと思ってしまったりする。