赤い羽BLOG

REDWINGとMr.Childrenを愛する男の趣味ブログ

REDWING COLUMN NO.53 レッドウィング 茶芯

f:id:mr_redwing_children:20200824225413j:plain

REDWING COLUMN NO.53 レッドウィング 茶芯

「茶芯(ちゃしん)」とは漢字のそのままの通り、芯が茶色いことを指し

主に黒いレザーに対して使われている言葉となっている。

現在の黒いレザーの主流は芯まで黒く染まったレザーをベースにしている為

傷が付いても表面は灰色や黒で目立たなくなっている。

 

それに対して茶芯は、茶色いレザーを黒くコーティングした物となっていて

劇的なエイジングをする為、ヴィンテージ好きなどにファンが多くなっている。

現在では予め、茶芯を意図的に出せるように作った物もあるが

過去のモデルでは主流の黒ベースが多い中に、稀に茶芯の個体が見られ

レッドウィングマニアは、この茶芯を集めていたりする。

 

レッドウィング 茶芯 目次

 

茶芯とは

f:id:mr_redwing_children:20200825182837j:plain

古い年代の黒いレザーには、着用を繰り返すと「茶色くなる物」が見られ

同じ年代でも「茶色くなる物」と「茶色くならない物」があり

実は作り方が違う物だったと言うように定義されるようになった。

そして、茶色く色落ちする黒いレザーが渋くてカッコイイんじゃないかと

評価されるようになり、この「茶色くなる物」を茶芯と名付けられるようになった。

茶芯の考え方が一般に広まったのは2000年代で、比較的新しい価値観になっている。

 

f:id:mr_redwing_children:20200824225614j:plain

そもそも茶芯は1940年代頃に多く見られた黒いレザーの作り方とされ

茶色いレザー用と黒いレザー用のベースを分けることなく加工出来る為

作業効率の向上や在庫管理の面で、考えて作られて来た製法とのこと。

この時代には現在主流の黒レザー用のベースの製法は存在している為

黒いレザーの精製方法には選択肢があったことになる。

 

f:id:mr_redwing_children:20200825182910j:plain

実は日本でも茶芯は昔から存在していて、自分には懐かしさを感じる風合い。

思い返せば子供の頃に父や親戚が使っている革ジャンやカバンの黒いレザーの

表面が傷付いて茶色くなっている物を普通に見掛けていたなと思う。

他には、やたら茶色くなっているランドセルを使っていた同級生とか。

なので印象としては、茶芯=昭和のおっちゃんっぽいレザー。

 

f:id:mr_redwing_children:20200824225706j:plain

茶芯はその後、何十年も引き続いて見られるが、時代が進むにつれ

環境問題などの面の規制が多くなり、染料や製法の変更を余儀なくされ

茶色いベースの上では黒いレザーが作りにくい物になって行ったそうだ。

それでも続いたのは、職人が伝統にこだわった物と勝手に想像する。

そして、そのレザーの変化が顕著なのが1990年代のブラッククロームになる。

 

1990年代ブラッククローム

f:id:mr_redwing_children:20200826165616j:plain

レッドウィングの90年代の黒いレザーの「ブラッククローム」には

「茶色くなる物」と「茶色くならない物」が混在している最後の年代で

2000年代からのブラッククロームは、現在主流の黒用クロム鞣しをした

茶色くならないレザーがほぼ占めることになり、茶芯は一旦ここで終了する。

しばしばあることだが、後に古い仕様の物の価値を見直す流れになり

90年代の茶芯の個体は中古市場などで注目を集めて行くことになる。

 

f:id:mr_redwing_children:20200824225739j:plain

㊧茶芯、㊥茶芯と灰芯の中間的な物、㊨灰芯

現在のブラッククロームは、主流のクロム鞣しをされている為

右のようにクロム液の青色が染まり、断面が灰色に作られている。

(近年の物はもっと断面が黒くなっている)

左の茶芯はタンニン鞣しと呼ばれるナチュラルカラーのレザーのベースを

使用している為、断面が灰色や黒にはならない。

つまり茶芯はクロム液に芯通しされていないと言うことになる。

2000年代は㊥のどちらとも言えない風合いも見られる。

 

f:id:mr_redwing_children:20200824225803j:plain

㊧茶芯、㊥茶芯と灰芯の中間的な物、㊨灰芯

茶芯は塗膜の傷が目立ちやすく、直射日光に当てると茶色が際立つ。

灰芯は傷も灰色になる為に目立たず、履き込んでも黒さを長く保つので

現在の黒いレザーの主流と言うのが良く分かる。

中間の物は本当に悩ましい色をしている。

 

茶芯の内側

f:id:mr_redwing_children:20200824225855j:plain

茶芯は内側も元は茶色の為、黒く着色されてからブーツになるが

90年代半ば頃の物までは裏側の起毛面の着色が甘い為

見た感じでもう茶芯だなと分かるようになっている。

特に左の93年製の物は茶色味がかなり強い。

 

f:id:mr_redwing_children:20200824225923j:plain

上段と下段左側は茶芯で、下段右は灰芯になっているが

気持ち上段のペコスは茶色っぽく見えなくも無いが黒の範囲の色をしている。

f:id:mr_redwing_children:20200824225940j:plain

下段左側の8165プレーントゥは履き口の折り返しを見ると

しっかりとした茶色になっている為、ブーツを作る途中の工程で

エアスプレーなどで黒く着色したことが分かる。

レザーの断面や傷以外でも、こう言った判別の仕方もあるが

全面茶芯と言う保証は無い為、細部のチェックは必要になる。

 

まとめ

f:id:mr_redwing_children:20200824230030j:plain

茶芯は古着の流行を経験した世代としてはロマンを感じる風合い。

ただし、見た目の経年変化を楽しむ要素が強いので

新品の様に綺麗に保つのが好きな方には苦手なジャンルとも言える。

傷の補色をしてはいけないような気がしたり、茶芯の物にこだわり過ぎたり

ハマると弊害的な考え方も実際には感じている部分もあるが

その反面で他のモデルでは綺麗にメンテナンスする楽しみを感じている。

いずれにせよ、茶芯と言うのは語り尽くせないテーマで

また違う切り口で書きたいなと思っているところ。