ジーンズやデニム好きのコダワリ派の裾上げ「チェーンステッチ」。
このチェーンステッチで裾上げをすると、良いアタリが出ると言われる。
普通のシングルステッチの裾上げと大して変わりがないようだけど
店舗での料金の差は数倍あり、チェーンステッチは取り扱い店舗も限られている。
実際シングルステッチとチェーンステッチでは何がどう違うのかを解説してみた。
チェーンステッチの裾上げ 目次
チェーンステッチとシングルステッチ
㊧チェーンステッチ ㊨シングルステッチ
右のシングルステッチは本縫いと言われ、裏表が均一に見える一般的な縫い方。
上下の張力に差が少なく、生地に凹凸が出にくく綺麗に縫い上がる。
服のお直し屋や購入店以外だと500円~1000円ぐらい。
左のチェーンステッチは環縫いとも言われ、立体的な鎖状に縫われている。
縫った生地に対して伸縮性を得る為に、この様な形状になっているとのことで
裾やウエスト部分などの負荷が掛かる部分や生地が多く重なる縫い合わせなどで使用される。
服のお直し屋や購入店以外だと1000円~2000円ぐらい。
ユニオンスペシャル
チェーンステッチの裾上げで有名な物に「ユニオンスペシャル」と言う古い時代のミシンがある。
このミシンは縫い針が斜めに落ちることから、裏と表が僅かにずれて縫われる為
捻じれが強制的に発生して生地にうねりが強く出るとのこと。
かつてはこの仕上がりを不良品とすることもあったそうだが、現在は世界のほとんどの
デニムメーカーやブランドではこの風合いを良しとし、引き継ぐことが多くなっている。
元々はリーバイス社が下糸交換不要となるこのユニオンスペシャルで縫うことで
作業効率化を図ったと言われ、作業する方にはかなりの手間が省けたそうだ。
㊧チェーンステッチ ㊨シングルステッチ
左のユニオンスペシャルで縫うと、デニム生地のうねりが斜めに進みやすく
綿製の糸の洗濯後の縮み具合と相まって立体的なアタリが出る。
右側のシングルステッチの方も洗濯後に乾燥機を掛けているけど
裾のうねりは低く、うねり方向もステッチとほぼ垂直に入りやすく
生地の引き付けが弱くなり、ややフラットな仕上がりになっている。
綿糸のアタリやうねり
現在では一般的な縫製用糸として使われる素材は主にポリエステルなどの
合成繊維で出来ていて、生地の伸縮に合わせて伸びる様に出来ている。
だがジーンズ専門店などでジーンズの裾上げをチェーンステッチでの裾上げを
依頼するとほとんどが綿糸で縫われることになる。
この綿糸は洗うと縮む為、その縮みで生地が引き付けられ
波型のうねりが発生しやすくなると言う仕組み。
縫い手さんや店舗にもよるそうだが、上糸と下糸の太さを変えるのも
チェーンステッチの特徴の一つで、うねりを助長しているとのこと。
チェーン、シングルのデメリット
こちらは㊧チェーンステッチ表側 ㊨チェーンステッチ裏側
表側は色が落ちて立体的で迫力のあるアタリが出ているのが分かる。
だけど裏側はチェーンステッチのデメリットとも言える二つの特徴。
生地が丸く膨らみ凹凸が大きい為、擦れが起こりやすくなり生地の傷みが早い。
そしてチェーンステッチはシングルよりも立体的な為、こちらも擦れによって
解れが発生しやすく、縫い目が上下で違う為、ぽろぽろと一気にほどけてしまう。
こちらの画像は㊧チェーンステッチ ㊨シングルステッチだが
裾上げの技術があまり無い人に当たってしまうと、うねりの間隔が広くなって
更に凹凸が低くなるので、ギザギザとした感じがあまり出ていない。
右側のシングルステッチも似たような印象があると思う。
逆にシングルでも技術があれば、ある程度強くうねりを出すことも可能とのこと。
まとめ
チェーンステッチで裾上げをして履き込まれたジーンズは
デニム好きにはポイントがとても高くなり、中古取引でも数千から数万と
ジーンズ本体の価格に比例して上乗せして取引されることがある。
自分は所有している全てのデニムをチェーンステッチにしている訳ではないけど
チェーンステッチで上げておきたい物と、シングルで良い物を何となく分けている。
もし何年も履く予定のジーンズを購入した時は、チェーンステッチでの裾上げがおススメ。