REDWING COLUMN NO.07 レッドウィング メンテナンス ラフアウト丸洗い編
ラフアウトもしくはスエードと呼ばれるレザーの丸洗いを実践。
※丸洗いとは水や洗剤を使い、その物全体を洗うこと。
革製品の水洗いは永らくタブーとされていたが
近年は一般的なメンテナンス方法として確立されつつある。
スエードは素材上、色が薄い物はとても汚れやすく目立ってしまう。
特にデニムのインディゴやシミになるような汚れを落とすのは難しい。
擦れによる汚れはスエード用のクリーナーなどで
こまめにケアすれば綺麗な状態を保てるが
下ろしたては気にするかもしれないが、常にとなるとそうも行かない。
今回はレッドウィング8173を丸洗いした時の記録。
個人的にはスエードは薄ら汚れている物がカッコイイと思うが
あまり汚れ過ぎても好みではないので、ほどほどを保つのが良いと思う。
そのほどほどが難しかったりする訳だが…
ラフアウトについては↓
REDWING メンテナンス ラフアウト丸洗い編 目次
予洗
1日目、隅々までブラッシングを済ませ
インソールは除菌シートを使い、カビ菌などを除去。
水に漬ける前に予洗、ウェルトやアウトソールは特にやっておいた方が良い。
どぶ漬け
泥汚れなど単純な汚れがある程度落ちたら、ぬるま湯に漬け込む。
温度が高いとダメージになるので注意。
ブーツの浮き上がり防止にペットボトルを使用。
漬け込みが甘いと渇いた時にムラになるので
半日から丸一日掛けてじっくりと行うのが好ましい。
※ブーツ内部に手を付けたくない場合はどぶ漬けNG。
2日目、どぶ漬け半日経過。
汚れや革の色などの成分が溶け出し、水は茶色になっている。
洗浄
モゥブレイのスエードシャンプーとレクソルクリーナーを用意。
どちらか一つで良いが、スエードシャンプーを早く使い切りたいので併用。
ナイロンブラシと豚毛ブラシで洗う、本来はクリーナーを水に溶かすが
自分はブラシに直接原液を付けて洗っている。
甘ったるく独特のケミカル臭があるが
レクソルクリーナーの方が洗浄力が強く泡立ちが良い。
インソールもレクソルクリーナーを使い、ナイロンブラシで洗う。
インソールはあまり洗い過ぎると変形のリスクが高まるそうだ。
中古品など徹底的に洗浄する必要が無い場合は省略でOK。
どぶ漬けするとアウトソールが若干茶色っぽくなるので
同じくレクソルクリーナーで洗うが、ここは他の洗剤でも良い。
良く濯ぎ、しっかりとタオルドライ。
レクソルクリーナーは多少の濯ぎ残しがあっても問題ないそうだ。
他の洗剤などを使用した場合は徹底的に濯ぐ必要がある。
陰干し乾燥
ブーツの中にタオルを詰めて一日陰干し。
少し茶色い色が出るので使い古しのバスタオルが良い感じ。
半日ぐらい経ったら、新しいタオルに交換。
このバスタオルだと半分はみ出ているので
そちら側に交換して中に入れ込むようにしている。
3日目、陰干し丸一日経過。
中に詰める物を新聞紙に変更、そのまま一日陰干し継続。
ブーツ内に新聞紙の色移りが気になる場合はタオルを継続。
半渇きでのオイルアップ
本来スエードは油分の補給が要らない革ではあるが
丸洗いで油分が抜けるので、表面が完全に乾く前に
レクソルコンディショナーを塗布。
丸洗いで酷使したブラシがえらいことになっているのはスルーで。
↑は片方だけ塗った状態、折角乾いて来たのにと少し気が引けるかもしれない。
油分を含んでいるが乾けば色の変化はほぼ無い。
履き口のパイピングとウェルトもしっかりと塗っておく。
※スエードのオイル入れは推奨されていないので、気になる方は省略でOK。
インソールのオイルアップ
4日目、陰干し丸2日経過、レクソルコンディショナー塗布から1日経過。
ブーツ内の新聞紙を取り除き、内部の本格的な乾燥に入る前に
モゥブレイのデリケートクリームをインソールに塗る。
インソールのひび割れを防ぐ効果があるが、他のオイルでも可。
これは表面にも言えるが、乾く時に何もしないと革の劣化に直結するので
完全に乾く前のタイミングでオイル入れが推奨とのこと。
この後は仕上げの作業が出来るようになるまで陰干しを継続。
仕上げ
13日目、陰干し丸11日経過、完全に乾いた様子。
どぶ漬けした場合は、インソール下のコルク層に染み込んでいるので
丸洗いは10日から二週間ぐらい掛けて気長に行うのが良い。
仕上げにスエード用の真鍮ブラシで毛並みを整える。
丸洗いとレクソル塗布で寝てしまった毛も起きてフワフワになる。
Before→After
㊧Before ㊨After
長年の使用で付いた灰色っぽい汚れは、ほぼ落ちている様子。
ベロは伸びてシャキッとして、ひも通しはリセットされる。
ひもの跡を完全に消すには、革を傷付ける可能性があるので
これぐらいまでに抑えた方が良いと思われる。
㊧Before ㊨After
トゥの染みは落ちるか微妙だったが、ほぼ分からないレベルになった。
ウェルトの断面は色が薄くなっているが、オイル入れで戻すことは可能。
まとめ
ひもを通して完成、ここで防水スプレーをしておくと汚れも付きにくくなる。
デニムのインディゴやオイル染みなどを落とすのは厳しいが
単純な汚れなら、今回の様にかなり綺麗にすることが可能。
色の薄いスエードは汚れが目立つ素材ではあるが
丸洗いの成果が分かりやすいので試す価値はアリ。
※リスクもあるので実践は良くお調べの上で行って下さい。
今回丸洗いした物は↓の記事の8173プリント羽タグ96年製でした。
他の素材とまとめた丸洗い総合版はこちら↓