REDWING COLLECTION NO.10
RW-2268 PT91 プリントタグ P1第1工場 94年9月製
レッドウィングのエンジニアブーツの歴史は古く、1930年代から登場する。
元は鉄道機関士が履く為にデザインされた長めの丈のプルオンタイプのブーツ。
足首周りをフィットさせる為に取り付けられたアンクルストラップと
ブーツインしたパンツを留まらせる上部のストラップが付くのが特徴。
現在の11インチ丈が主流になるのは1950年代に入ってからとのことで
つま先の保護の為のスチールのトゥを備え、この2268は1961年にリリースされる。
2268は現在も続く定番モデルだが、生産中止になった時期もあったようだ。
2268などのエンジニアブーツは時代によりディテールが変化して行くが
大きな特徴としてシャフトと呼ばれる筒状のパーツの太さが変化する。
PT期はシャフトが細い作りになっていて、この仕様は2005年頃まで続く。
この個体のブラッククロームは断面や傷跡が茶色で所謂茶芯レザーで
表面はとてもきめ細やかで強い光沢感が見られる。
1997年製ぐらいまではこの質感の物を見掛ける。
ブラッククロームについては↓
PT91プリントタグは96年途中まで使われ、刺繍タグに切り替わる。
PTとはProtective Toe、ANSI=米国規格協会の略となっていて
スチールトゥなどの安全靴に定められた規格、「91」はその規格年に当たる。
大枠でPT83、PT91、PT99の三つに分かれ、2006年からASTMに変わり現在に至る。
シャフト上部に製造年月の刻印が94年製の途中まで入るが
この2268はその切替直後の刻印無しバージョンになる。
プリントタグ+刻印無しは、俗にPT91中期と呼ばれ
PT91前期は刻印有り、PT91後期は刺繍タグと別れる。
羽タグについてはこちら↓
アウトソールはレッドウィング純正のネオプレーンコードソール。
オイルや薬品などに強く、ネオプレーンと言う名のデュポン社の素材に
コード=紐状のナイロンの繊維を混ぜられたソールとなっている。
古い物は繊維が多めに含まれていて、現行の物はほとんど見られない。
ややRの付いたヒールはロガーシェイプと呼ばれる物。
ぬかるんだ地面で引っ掛かりが出来るように上側が太くなっている。
ストラップに付くニッケル素材のバックル。
PT91期はやや平らな形状で新しくなるとやや分厚くなるようだ。
厚紙のようなTEXON社のインソールはペコスや旧モデルなどでも見られた物。
2008年頃から革のインソールに変わったとのこと。
鼻筋のような跡をクリッピング、またはクリンピングと呼ぶ。
甲の部分を立体的に作る為に付けられた加工跡で、古い年代に見られる技術の一つ。
現在は製造技術の進歩などでこの工程が必要なくなったとのことで
レッドウィングではPT91期の90年代の末頃まで採用されていたようだ。
2268のメンテナンスはパーツ毎に塗る物を変えている。
ミンクオイルは革の繊維を柔らかくする効果がとても強いとのことで
定期的に入れていると、シャフトがくたっと柔らかくなるようだ。
自分は出来ればシャフトのこのピンとした感じをキープしたいので
レクソルコンディショナーやモゥブレイのクリームをチョイスしている。